1996 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト関連複酸化物中の一価ニッケルの局所構造と電子状態
Project/Area Number |
08750790
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森賀 俊広 徳島大学, 工学部, 助手 (90239640)
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Keywords | ペロブスカイト型構造 / 一価ニッケル / X線Rietveld解析 / X線光電子分光(XPS) / 超構造 / 平面四配位ニッケル |
Research Abstract |
昨年の研究(課題番号07750753)に引き続き、ペロブスカイト型構造を有するLnNiO_3のトポタクティックな還元により生成するLn_3Ni_3O_7の結晶構造及び電子状態について調べた。本年度は特に、昨年行ったLn=Ndよりもイオン半径の小さなLn=Smの場合について実験し、Ln=Ndと比較した。Ln=Ndの場合、ペロブスカイト型NdNiO_3から還元によってNd_3Ni_3O_7まで還元が進んだが、SmNiO_3もLn=Ndと同様Sm_3Ni_3O_7まで還元が進むことが分かった。しかしながら、X線Rietveld解析の結果、Nd_3Ni_3O_7は単純基本ペロブスカイト型格子の格子定数を基準としたとき、3x1x3の超格子を取ることを昨年報告したが、Sm_3Ni_3O_7の場合、3√2x2x√2で表される超格子を取ることがこの研究で明らかになった。結晶中のNiイオンは、Ln=Nd、Smともに八面体6配位のNiイオンと平面4配位のNiイオンが1:2の割合で存在していることが解析より分かった。Ni2p3/2領域のXPS測定結果のカーブフィッティング解析により、Niイオンは3価と1価の状態に1:2の割合で不均化していることが示唆された。これらの実験事実より、八面体6配位位置に存在するニッケルは3価、平面4配位位置に存在するニッケルは1価の状態で存在していることが明らかになった。更に、Ln=Nd、Smともに、これらNi^<3+>O_6八面体が一軸方向に繋がって一次元鎖を作り、この間を2枚のNi^+O_4平面が結びつける構造をとるが、これら隣り合う多面体がLn=Ndではほぼ180°で直線上に結合しているのに対し、Ln=Smでは150〜170°にジグザク鎖を形成していた。これは、希土類金属イオン半径の減少に伴い、希土類金属イオンの周りの配位数を見かけ上減少させるように構造緩和が起こったものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Moriga et al.: "Charge distribution in the perovskite-related LaNiO_<3-X> and NaNiO_<3-X>" Chemistry of Materials. (in press).
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[Publications] Toshihiro Moriga: "Dr.Thesis“Crystal Chemistry of Low-Valence Nickelates La_2Ni_2O_5 and Ln_3Ni_3O_7(Ln=Pr,Nd)" 107 (1996)