1996 Fiscal Year Annual Research Report
超高速リアルタイム画像処理システムを用いた工業用晶析槽における結晶粒径分布計測法
Project/Area Number |
08750884
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
仁志 和彦 横浜国立大学, 工学部, 助手 (20262412)
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Keywords | 晶析 / 回分晶析 / 冷却晶析 / リアルタイム高速画像処理システム / オンライン計測 / アルゴンレーザー |
Research Abstract |
本研究は、晶析槽内における結晶径分布、および結晶の立体的形状のオンライン計測法の開発を目的としたものである。 本計測法は以下の方法で行われる。晶析槽内の結晶を含む液をガラス円管により槽外部に吸引する。吸引された結晶の映像を管の途中に設けた、透明角槽付きの検出部において計測する。検出部はシート状のレーザー光源と、直径0.5mmあるいは0.25mmの光ファイバーを直線上に192本並べて作成した受光部から成り、同光源および受光面を幾何学的に2あるいは4方向に配置して測定を行った。 上記の検出部の測定分解能、測定限界結晶濃度について検討を行った。実験は先ず、粒径50μm〜2mmの粒径既知のガラスビーズを、水に懸濁させた液を対象として行った。その結果、結晶が6000個/cm^3の高濃度に存在する状態で、分解能20μmの測定が行えることを明らかにした。また、本計測法では、約1000個/秒の速度で結晶の計測が可能であり、結晶径分布のオンライン測定ができることがわかった。 次に、同検出器を用い、10lスケールの回分式冷却晶析装置におけるKCl、およびNH_4Clの晶析について測定を行った。その結果、晶析の初期では結晶は、主に物質固有の形(KClは立方体、NH_4Clは針状)をしており、その形状を考慮することで、直交する2方向からの影像データより結晶形分布が測定できることを明らかにした。また、晶析の後期では、高濃度に結晶が存在するので、撹拌翼による結晶の破砕や結晶相互の凝集が生じ、不規則な形状の結晶が増加することが観測された。この場合、4方向からの影像の検出を行い、画像解析により結晶の立体的形状を合成して、種々の結晶粒径の定義(Feret径、Martin径、投影面積径等)に基づく粒径分布が求められることを明らかにした。 本研究より、本計測法は、晶析操作における高精度な結晶系分布のオンライン計測法として、十分利用できることを明らかにし、化学工学会年会にて報告した。
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