1996 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン系有機固体材料の電子物性発現に関する理論
Project/Area Number |
08750966
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Research Institution | Institute Fundamental Chemistry |
Principal Investigator |
岡田 真由美 基礎化学研究所, 研究員 (50221841)
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Keywords | C_<60>アニオン / 電子相関 / 電子状態 / フラーレン / 電子物性 |
Research Abstract |
本研究では、フラーレン系有機固体材料において、電子物性が、発現する際の電子状態を量子化学的手法を用いて理論的に求め、その結果に基づいてその電子状態を解析・検討し、その電子物性を予測・評価した。ここでは、特に、C_<60>アニオンに注目し、電子相関を考慮しながら、その電子状態について詳細な理論的検討を行った。 まず、C_<60>において3重縮退したt_<1u>対称性を有する最低空分子軌道準位(LUMO:t_<1u>)ならびに準最低空分子軌道(NLUMO;t_<1g>)に対し、軌道混合の概念を用いて、2価および3価のC_<60>アニオン(C_<60>^<2->,C_<60>^<3->)の電子状態を理論的に考察した。 具体的には、t_<1u>ならびにt_<1g>軌道の混合により生成するC_<60>^<2->ならびにC_<60>^<3->の種々の電子配置に対し、配置間相互作用法を用いて、各電子状態の評価を行った。 その結果、本研究では、C_<60>^<2->では3重項状態が、また、C_<60>^<3->では2重項状態が、最安定電子状態であることを理論的に明らかにした。しかし、C_<60>^<2->では、3重項状態とその最低励起状態である1重項状態とのエネルギー差は小さく、それらの電子状態は拮抗していた。これらの結果は、ESRに基づく実験結果からの報告とも一致している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Okada et al.: "Mixing of Triply-Degenerated Molecular Orbitals in C_<60>^<2-> and C_<60>^<3->." Int.J.Quantum Chem.(印刷中). (1997)
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[Publications] M.Okada et al.: "Examination of Electronic Structures of C_<60>^<2-> and C_<60>^<3->・・・・・・・・・・・" J.Phys.Chem.Solids.(印刷中). (1997)