1996 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン骨格導入によるアイオネン高分子の高機能化
Project/Area Number |
08751023
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
神原 貴樹 富山大学, 工学部, 助教授 (90204809)
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Keywords | ポルフィリン / アイオネン高分子 / ビオロゲン / 酸化還元 / 亜鉛錯体 |
Research Abstract |
モノマーとして5,15-位にピリジル基を有する新規のポルフィリン誘導体を合成した。また、このポルフィリン誘導体と塩化亜鉛を反応させ、亜鉛錯体を合成した。これらのポルフィリン誘導体と1,4-ブタンジトリフルオロメタンスルホネートを反応させて4級化反応を進行させることによりポリフィルン骨格を主鎖中に有する新しいアイオネン高分子を高収率(>80%)で得た。また、上記のポルフィリン誘導体をトリフルオロメタンスルホン酸メチルで4級化反応し、モデル化合物の合成も行った。得られたポリマー及びモデル化合物の化学構造はIR,^1HNMR測定により確認した。 上記のアイオネン高分子及びモデル化合物はDMF,DMSO等の極性有機溶媒に可溶であり、ポリマーはキャスト法によりフィルム成型が可能である。電気化学的測定からポリマー及びモデル化合物共に2段階の可逆的な酸化還元特性を示すことがわかった。また、紫外-可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルの測定では、亜二チオン酸ナトリウム等の還元剤の添加によりポルフィリンのソーレー帯の吸収の減少と蛍光の消失が見られ、新たにカチオンラジカル生成に基づくブロードな吸収ピークが観測された。このスペクトル変化は空気酸化によって可逆反応であることがわかった。 上記の酸化還元反応挙動はビオロゲン(4,4^1-ビピリジニウム塩)のレドックス挙動と良く類似しており、これらの化合物が、5,15-位のピリジル基を介してポルフィリン骨格中の共役系の変換を伴って、ワイツ型の酸化還元能を有していることが明らかとなった。
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