1996 Fiscal Year Annual Research Report
ロジウム錯体による置換アセチレンの重合における反応機構の解明と先進的触媒系の設計
Project/Area Number |
08751025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三隅 良彦 京都大学, 工学研究科, 助手 (10273476)
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Keywords | ロジウム錯体 / 置換ポリアセチレン / ポリフェニルアセチレン / フェニルアセチレン / 有機リチウム / 有機アルミニウム / 有機亜鉛 / 重合開始機構 |
Research Abstract |
我々はこれまでに5、6族遷移金属触媒が置換アセチレンの重合に有効であることを見いだしてきた。最近、後周期遷移金属であるロジウムの錯体[(nbd)RhCl]_2がフェニルアセチレンなどの重合に有効であり、選択的に主鎖にシス-トランソイド構造を有するポリマーを生成することが見いだされ、注目を集めている。しかし、その重合機構、特に開始反応などは明らかではない部分が多い。本研究ではロジウム触媒による置換アセチレンの重合機構を明らかにし、より高活性高機能の触媒系を設計することを目的として以下の検討を行った。 ロジウム錯体[(nbd)RhCl]_2によるフェニルアセチレンの重合はトルエン溶媒中で錯体単独では進行せず、トリエチルアミンなどの添加が必要である。本研究では、トリエチルアミンに代わる有効な添加物の探索を行い、アルキルリチウムなどの有機金属アルキル化剤が有効であることを見いだした。ブチルリチウムをロジウムに対して1当量添加した場合、フェニルアセチレンの重合は瞬時に完了して数平均分子量14万のポリマーが生成した。また、トリエチルアルミニウムおよびジエチル亜鉛も有効であった。それに対し、アルキルアルミニウムクロリドやGrignard試薬を用いた場合は全くポリマーは生成しなかった。また添加するアルキル化剤の量を増加させると、生成するポリマーの分子量は低下する傾向がみられた。これらの知見はロジウム錯体による置換アセチレンの重合反応の機構を解明する手がかりになると考えられる。
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