1996 Fiscal Year Annual Research Report
性フェロモン構成成分およびDNA塩基配列比較によるキンウワバ亜科の系統解析
Project/Area Number |
08760041
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野村 昌史 千葉大学, 園芸学部, 助手 (50228368)
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Keywords | キンウワバ亜科 / 性フェロモン / 野外誘引試験 / PCR法 / ダイレクトシークエンス / 分子系統解析 / チトクロームオキシダーゼ |
Research Abstract |
フェロモン成分の同定により、形態的には極めて近縁とされるキクキンウワバとネッタイキクキンウワバについては主成分が異なるという強い生殖隔離が明らかとなった。また野外でのフェロモントラップによる誘引試験を北海道、関東、沖縄で行ったところ、混生している沖縄地方においても両種が同じ成分に誘引されることはなく、強い生殖隔離が確認された。更にアロザイムやミトコンドリアDNAの制限酵素断片長多型といった生化学的手法を用いて両種の類縁関係を検討したこところ、やはり遺伝的に大きく異なるという結果が得られた。 チトクロームオキシダーゼ領域の塩基配列比較については、PCR産物のダイレクトシークエンスを行い、大腸菌を用いてのクローニングは行わずに研究を進めた。より簡便な手法により個体数・種類数を増やすためであり、個体数を多くすることによって塩基配列の確認を行った。PCR産物にイソプロパノールと酢酸アンモニウムを併用した処理を行い、シークエンスを行ったところ、300〜500塩基の配列を明らかにすることができた。これまでに明らかとなっているショウジョウバエなどの領域と比較したところ、確かに目的の領域の一部の配列を示していることが確認された。試薬などの関係でこれ以上の配列を確認することができなかったが、種間の比較については変異が蓄積している領域であったため、解析を行うことができた。 キンウワバ類5種の配列を比較検討したところ、キクキンウワバとネッタイキクキンウワバが配列が異なる傾向が見られ、これまでの生化学的手法の結果および本研究によるフェロモン成分の結果を支持した。以上得られた成果について学会の大会で報告を行う予定である。今後は更に多くの種のフェロモン成分を明らかにするとともに、DNA塩基配列情報を蓄積し、亜科内の種の分子系統学的研究を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)