1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08760248
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
安江 健 茨城大学, 農学部, 助手 (10270852)
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Keywords | 羊 / 山羊 / 混群期間 / 放牧 / 社会行動 / 移動順序 |
Research Abstract |
前年度の研究では、羊に山羊を新たに加えた場合、1放牧期間程度の期間では、両者は1つの群を形成するには至らず、明確なLeader-Follower関係も成立しなかった。そこで本研究では、混群期間の違いが羊・山羊群の放牧行動に及ぼす影響を明確にするため、混群として管理された期間が1年以上の羊・山羊群(長期群)と、混群として管理された期間が3ヶ月以下の羊・山羊群(短期群)を同一の野草地で観察し、両群における羊-山羊間の社会行動や移動順序を比較検討した。得られた結果は次の通りである。(1)羊間、山羊間の個体間距離の平均値はそれぞれ4〜8m、8〜10m、13〜17mと、両群とも全観察を通してほぼ一定で推移し、いずれの群および観察日においても種間の個体間距離は種内のそれより有意(P<0.01)に大きかった。(2)羊-山羊間の敵対行動は、長期群ではいずれの観察日も60回程度で一定し、威嚇、回避などの非物理的敵対行動が常に50%以上を占めていたのに対して、短期群では観察の進行に伴って頭突きや押し退けなどの物理的敵対行動が増加し、敵対行動の総数は35回から119回に急増した。(3)羊-山羊間の敵対行動以外の社会行動では、子供が仕掛ける遊戯行動および親和行動と考えられる行動が両群において観察されたが、いずれも長期群が短期群に比べて多い傾向にあった。長期群では探査行動、乗駕および角かじりも観察された。(4)強制的移動時における移動順序は、長期群では試験期間を通して山羊が先頭であり、群全体での反復性も高かったのに対して、短期群では山羊の移動順序が安定せず、群全体での反復性も低かった。(5)以上の様な結果から、1年以上混群として管理されている羊・山羊群では、混群期間の短い群に比べ、より社会的に安定した群が形成されているものと考えられた。また、この様に社会的に安定した群では、山羊のLeader-羊のFollower関係が確立され得る可能性が示唆された。
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