1996 Fiscal Year Annual Research Report
病原性酵母カンジダ・アルビカンスの染色体組換えを制御するタンパク質の検索
Project/Area Number |
08770191
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
岩口 伸一 奈良女子大学, 理学部, 講師 (40263420)
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Keywords | Candida albicans / 反復配列 / 染色体再配列 / ゲル・シフト法 / DNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
日和見感染菌である酵母C.albicansのゲノム全体に存在している反復配列RPS1は、染色体再配列の生じている部位に局在している。このような反復配列がゲノム上に存在している場合、組換えを制御するタンパク質が細胞中に存在しなければ、ランダムな組換えが生じ、ゲノムの不安定性を引き起こすと考えられる。本研究ではC.albicansの反復配列RPS1に結合する調節タンパク質をゲル・シフト法により探索した。ゲル・シフト法では、ポリアクリルアミド電気泳動において、DNA断片とタンパク質の複合体の移動度は遊離のDNA断片に比べて遅くなるという原理を利用する。RPS1配列から30〜100bpのDNA断片を調整、ラベルし、C.albicansからのタンパク質抽出液と反応させた。その結果、30bpのCOM29に対して強く結合するタンパク質と、RNAとして発現している領域のDNA断片に結合するタンパク質を検出できた。COM29配列に結合するタンパク質は、大過剰の未標識のプローブを加えた競合実験においてもシグナルが観察される事から配列特異性が非常に高く、かつ結合力がかなり大きい事が分かった。さらにサウス・ウエスタン法によりCOM29配列に結合するタンパク質の大きさを調べたところ、49、38、26.8kdの3つのポリペプチドが検出された。COM29配列はRPS1ユニット中に5個存在しているため、このタンパク質がRPS1内部、さらにはRPSクラスター全体をパッケージングすることにより、組換えの鋳型として機能させなくしている可能性が考えられる。現在、COM29配列をCNBr-sepharose 4Bに結合させたDNAアフィニティーカラムを作製し、結合タンパク質の単離を試みている。
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