1996 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝疾患治癒過程の肝線維化消失に関する病理学的・臨床的研究
Project/Area Number |
08770381
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
斉藤 俊司 北里大学, 医学部, 助手 (80271245)
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Keywords | IV型コラーゲン / 肝線維化 / 慢性肝炎 / 肝硬変 / インターフェロン療法 |
Research Abstract |
IV型コラーゲンに対する2つのモノクローナル抗体を作製し、それらを用いたEIA法による新しいIV型コラーゲン測定系を開発しそれぞれIV-67法、IV-238法と名付けた。健常者血清の測定より、IV-67法では8.2ng/ml以下、IV-238法では91.6ng/ml以下を正常値とした。この系によりIV型コラーゲン値を測定すると、IV-67法では慢性肝炎の87.8%、肝硬変の97.9%で高値を呈し、IV-238法ではそれぞれ62.2%、89.4%で高値を示した。これはIV型コラーゲン測定の従来法(7S domainに対するポリクロナール抗体を用いたRIA法と7S domainとtriple helical domainのモノクロナール抗体を用いたEIA法)と同等またはそれ以上の成績であった。IV-67法、IV-238法とも慢性肝炎、肝硬変と病態が進展するに従い測定値は有意に上昇した。また、IV-67法、IV-238法の測定値と、肝生検のHAIスコアによる組織学的な線維化の程度を比較するといずれも正の相関を示したが、門脈域や小葉内の炎症・壊死の程度との間には相関はなかった。さらに、C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法の効果と治療前後のIV型コラーゲン測定値を比較し、IV-67法は治療効果を予測する上でもすぐれた指標となりうることを確認した。以上から、IV-67法、IV-238法とも従来法と同様にすぐれた肝線維化マーカーである上に、治療効果の評価にも有用であり、測定法は簡便で自動化されており、従来法より少量の検体で短時間に多数の測定が可能なことから、有用な血清IV型コラーゲンの測定法になりうると考えられた。
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Research Products
(1 results)