1996 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス遺伝子(NS5領域)の変異と癌化についての基礎的検討.
Project/Area Number |
08770403
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高田 伸夫 東邦大学, 医学部, 助手 (50216660)
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Keywords | HCV / 肝細胞癌 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
当院でインターフェロン治療を施行した157例の内、治療後に発癌したのは9例であった。これらの症例のC型肝炎(HCV)ウイルス遺伝子のNS5領域について解析した。まずHCV-RNAのNS5b領域のふたつの部分(Europian patent applocation No.6556-6596;NS5b-401と同No.6732-6956;NS5b-225)でのPCRによる陽性率をインターフェロン治療開始時と発癌時で比較した。慢性肝炎時では、NS5b-401・NS5b-225ともに8例(88.8%)と両者の陽性率に差は見られなかった。しかし発癌時での陽性率は、NS5b-401が4例(44.4%)であったのに対してNS5b-225は7例(77.8%)で、両者の陽性率に差が認められた。さらに、NS5b-401が消失した4例でNS5a領域のHCV遺伝子をPCRにより増幅したところ3例で陽性であった。このことより、発癌に伴うNS5b領域のNo.6556付近のHCV遺伝子変異の存在が示唆された。 そこでこのことを確かめるため、先の発癌に伴ってNS5b-401が消失した4例でHCVの解析を試みた。NS5a領域の5'側のプライマーとNS5b領域の3'側のプライマーを使ってロングPCRを行ったところ1例で検出された。しかし、ダイレクトシークエンスによる塩基配列を決定するには検出されるバンドが弱く、現在PCRの条件を調整中である。また、他の3例についてもHCVが消失しているとは考えにくく、いくつかの部分に分割して検出可能か施行中である。
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