1996 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤耐性克服と抗腫瘍効果増強を目的としたドラック・デリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
08770413
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中谷 正 関西医科大学, 医学部, 助手 (20257942)
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Keywords | 塩酸ドキソルビシン / ブチオニン・スルフォキシン / ハイドロキシ・アパタイト / 温熱療法 |
Research Abstract |
深部癌、特に肝臓癌に対する効果的な化学療法を企図して、ハイドロキシ・アパタイト(以下HAP)に抗癌剤の一種である塩酸ドキソルビシン(以下DOX)と、free radicalのscavengerであるglutationeの生成を阻止するbuthionine sulfoximine(以下BS0)を凍結乾燥法を用いて吸着させ、新たな制癌効果を持った薬物輸送複合体(DOX&BSO-HAP)を作製し、in vitroにおける徐放性、ならびに移植腫瘍を用いたin vivoの系においてその有効性について報告を行ってきた。今回、さらに薬剤耐性克服と抗腫瘍効果の増強を目的として、温熱療法の併用を行うことにより、治療効果比の上昇を目的として基礎実験を行った。 (1)HAPの温熱療法における基礎実験:Agar-Phantomを用いて、8MHz RF波で加熱後、サーモグラフィーで撮影し、HAP周囲の温度分布を測定するとともに、加熱後一定時間、恒温状態でHAPを中心にして、抗腫瘍効果を期待し得る温度分布が得られる事を確認した。(Imamura et.al.Oncology Rep.1996) (2)担癌動物モデルを用いた基礎実験:ddYマウスにSarcoma180を移植し、一定の腫瘍径になった後、経皮的にDOX&BSO-HAP complexを投与し、さらに一定条件の温熱療法を併用した。温熱療法を施行したことにより、施行しなかった場合と比較していかほどの抗腫瘍効果が得られたかということを、腫瘍体積の増加率と組織学的に得られた腫瘍壊死面積の検討により評価を行った。(Imamura et.al.投稿中) これらの結果より、DOX&BSO-HAP complexに温熱療法を併用した場合、簡便かつ効果的に、しかも副作用が少なく、肝癌患者の治療改善に寄与出来る可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)