1996 Fiscal Year Annual Research Report
PCR法による肺炎球菌の薬剤耐性迅速スクリーニング法の検討
Project/Area Number |
08770611
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
長井 健祐 久留米大学, 医学部, 助手 (20258453)
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Keywords | 肺炎球菌 / 薬剤耐性 / PCR / 耐性スクリーニング法 |
Research Abstract |
1993年分離の肺炎球菌98株は,寒天平板希釈法(標準法)では高度耐性(PCG;MIC≧2.0μg/ml)10株,中等度耐性(0.13-1.0μg/ml)35株,感性株(MIC≦0.06μg/ml)53株であった.この結果を以下の3つの方法の結果と比較した. 1 Oxacillin(MPIPC)disk:Penicillin耐性株45株は,すべてMPIPC diskで耐性と判定された.感性株53株中,MPIPC diskで耐性と判定された株が12株にみられ,標準法との一致率は87.8%(95%CI:79.6-93.5%)であった. 2 E test:高度耐性株10株のうち,E testで5株が中等度耐性と判定された.中等度耐性株35株では,E testで7株が高度,1株が感性と判定された.感性株53株では,E testで7株が中等度耐性と判定された.標準法との一致率は79.6%(95%CI:70.3-87.1%)であった. 3 PCR法による薬剤耐性遺伝子の検出:Penicllin高度耐性株10株中,7株でPBP2B class B変異,PBP2X変異遺伝子の両方が検出された.残りは2株でclassB変異のみ検出され,1株でPBP2X変異とPBP2B感性型遺伝子(class S)が検出された.中等度耐性株35株中,30株でPBP2B classB変異,PBP2X変異のいずれかが検出され,class S遺伝子のみ検出された株が5株であった.耐性株だけの薬剤感受性と耐性遺伝子の一致率は,88.9%(95%CI:76.0-96.3%)であった.髄膜炎などの重症感染症分離の肺炎球菌では,まずMPIPC diskとE testを行い判定に最低18時間かかるため,数時間で結果が判明するPCR法で耐性遺伝子の確認を合わせて行う事が望ましいと考えられた.
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