1996 Fiscal Year Annual Research Report
メラノサイトの分化誘導因子miの発現調節に関わる因子の解析
Project/Area Number |
08770661
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
占部 和敬 九州大学, 医学部, 助手 (50281192)
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Keywords | メラノサイト / microphthalmia遺伝子 / MSH / チロシナーゼ |
Research Abstract |
小眼、白毛を特徴とするmicrophthalmia(mi)マウスの原因遺伝子miをNIH3T3細胞に発現させると、メラノサイトに特異的な蛋白であるチロシナーゼとTRP1の発現が誘導されることより、mi遺伝子がメラノサイトの分化誘導に重要な役割を果たしていることが明らかになった(Tachibana M,Takeda K,Nobukuni Y,Urabe K et al : Nature Genet 14 : 50-54,1996.)。そこでmi遺伝子の発現がメラノサイトに特異的な他の遺伝子の発現をも調節しているかどうかを検討する目的で、チロシナーゼなどの発現量が異なるメラノーマ細胞株BL6のsublineを用いて、これらの細胞におけるメラノサイト特異的な遺伝子の発現をノザンブロット法により測定した。その結果、mi発現量の多い細胞株では、チロシナーゼ、TRP1、TRP2、MSH receptor、c-kitの発現量が多く、逆にmi発現量の少ない細胞株ではこれらの発現量も少なかった。さらに、チロシナーゼの発現量などを上昇させメラニンの生合成を増加させることが知られているTPA、db-cAMP、MSHをマウスメラノーマ細胞株B16F10にそれぞれ100nM、200nM、100nMの濃度で加え、mi遺伝子の発現の変化をノザンブロット法にて検討した所、これらの刺激によりチロシナーゼ、TRP2、c-kit、MSH receptorの発現量は増加したが、mi遺伝子の発現量には変化は認められなかった。これらのことよりmi遺伝子の発現は、チロシナーゼ、TRP1のみならず、他のメラノサイト特異的遺伝子の発現をも調節すること、またmi遺伝子の発現はMSH receptorからcAMPを介するシグナル伝達系の調節をうけないことが明らかとなった。
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