1996 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎患者におけるTh1-Th2バランス制御機構の解析
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08770683
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
浦野 一志 東海大学, 医学部, 助手 (10246126)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / Th1-Th2 / ダニ抗原 / IL-12 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎患者の末梢血単核球からクローニングされたダニ抗原特異的T細胞のクローンがIL-4を強く産生し、IFN-γの産生が低いこと、またダニ抗原に感作されているアトピー性皮膚炎患者の病巣部に浸潤しているT細胞はTh2細胞様であることからアトピー性皮膚炎もTh1-Th2バランスの変化がその病態形成に重要な役割を果たしていると考えられている。今回、私はアトピー性皮膚炎患者、健常人の末梢血単核球のダニ抗原やSEAに対するIFN-γの産生を検討した。また、アトピー性皮膚炎患者の抑制されたTh1型反応をIL-12を加えることで改善することができるか否か検討した。その結果、健常人の末梢血単核球はダニ抗原とIL-2の混合培養によりIFN-γの高い産生が起こった。しかしアトピー性皮膚炎患者の末梢血単核球では健常人と比較してIFN-γの産生は低下していた。またIL-12に対するIFN-γの産生も健常人と比較してアトピー性皮膚炎患者では著明に低下していた。このことからアトピー性皮膚炎患者ではTh1細胞群の機能の低下が起こっていると考えられた。しかしダニ抗原とIL-12を加えることでアトピー性皮膚炎患者の低下したIFN-γの産生は回復し、このIFN-γ産生の回復はIL-12とIL-2を加えた場合も認められた。IL-4は逆にIL-12のIFN-γの産生を抑制した。ダニ抗原によるアトピー性皮膚炎患者の末梢血単核球のIFN-γの産生はSEAを用いた実験でも同様であった。これらの結果とアトピー性皮膚炎患者の末梢血単核球によるspontaneousなIL-4の産生がTh1型免疫反応を抑制し、高IgEを引き起こすアトピー性皮膚炎患者のTh2型免疫反応を活性化していると考えられた。
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