1996 Fiscal Year Annual Research Report
色素レーザーによる血管障害の深度に対する免疫組織化学的計測
Project/Area Number |
08770684
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
相原 英雄 東海大学, 医学部, 助手 (70276848)
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Keywords | 単純性血管腫 / 色素レーザー / アルゴンレーザー / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
【目的】現在、色素レーザーは単純性血管腫の治療に用いられ効果を得ている。レーザー効果の判定に対し、主にHE染色による所見でなされているが困難な場合も多い。今回の実験目的は、レーザーによる熱変性に対して、血管および周囲の膠原線維の変性を、免疫組織化学的方法にて判定する方法の確立である。 【方法】今回その予備実験として、以前に血管腫の治療の主流であったアルゴンレーザーの照射前後の単純性血管腫のホルマリン固定パラフィン包埋標本に対して、免疫組織化学的方法にて染色を行った。アルゴンレーザーは色素レーザーに比較し、血管のみではなくその周囲の膠原線維をも含めて広範囲に傷害されることがHE染色にて証明されている。染色方法は以下の通りである。血管内皮細胞に対して、Factor8,CD34。基底膜に対して、コラーゲンtype4。血管周囲の膠原線維の熱変異に対して、コラーゲンtype1。そして従来通りのHE染色を行い比較検討を行った。 【結果】(単純性血管腫←照射前) HE染色、真皮内に拡張した血管像を多数認める。Factor8、CD34、血管内皮細胞の染色が認められる。コラーゲンtype4、血管及び皮膚その他の基底膜の染色が見られる。コラーゲンtype1、真皮膠原繊維の染色は認められるが、鮮明ではない。 (照射後)HE染色、照射部位に対しては血管内の凝固、周囲の膠原線維の変性が認められる。Factor8、CD34、高度の障害がみられる部分では抗原性の低下を認めるが著名ではない。コラーゲンtype4、コラーゲンtype1、あまり明らかな変化を認めない。 【考察】以前よりアルゴンレーザーは血管のみの傷害ではなく周囲も含めて傷害されていると言われていたが、血管内皮細胞に対してはさほど明らかな傷害を与えていないことが考えられる。今後、血管をターゲットにして治療されている色素レーザーと比較検討したい。
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