1996 Fiscal Year Annual Research Report
クロイツフェルド・ヤコブ病コドン200異常の分子遺伝学的、神経病理学的研究
Project/Area Number |
08770785
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
宮川 朋大 横浜市立大学, 医学部, 助手 (10275042)
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Keywords | クロイツフェルド・ヤコブ病 / プリオン遺伝子 / コドン200異常 |
Research Abstract |
本年度、新たな症例追加は残念ながら他地域出身者の1例のみであった。この症例についてはプリオンタンパク遺伝子(PRNP)変異を認めない孤発性のCJDと診断した。一方他施設からPRNPに2カ所の遺伝子変異を認める報告があったが、複数の症例に同一のPRNPに共通する複数の遺伝子変異があればその症例間では極めて強い創始者効果があると言えるため、当教室でもコドン200異常を確認した5例について過去に報告されている主なPRNP異常を検索し、複数変異の有無を調べた。コドン102, 105, 117, 129, 178, 232,過剰挿入について検索したところ全て変異はなかった(コドン129はMetのホモ接合であった)。当教室に蓄積された同地域関連CJD症例のパラフィン標本のDNA抽出では、脱パラフィンの操作をおこない酵素で蛋白分解をおこなうだけでは分子量10万以下のPCR抑制因子が残存してしまうと考えられているため、特殊なろ過膜でこれらを除く操作をしたが、やはり増幅出来なかった。今後Takara DEXPATなどのより鋭敏な方法で再度抽出を試みる必要があると考えている。同地域の症例のうち、剖検された5例について神経病理学的な検索を行なったところ主に大脳皮質に海綿状態を中心とする病変をみるsubacute spongyform encephalopathy (SSE)が1例、皮膚下も含めて大脳全般的に傷害されるpanencephalopathy typeが1例、大脳皮質の神経細胞脱落とグリアの増生が中心となるpoliodystrophic typeが3例であった。各々病理所見の相違と、発症年齢や経過、症状など臨床所見に有意な差は認めず、どのような理由でこうした差異が生じるのか今後も症例を蓄積して検討する課題となっている。
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