1996 Fiscal Year Annual Research Report
感情障害におけるセロトニントランスポーター遺伝子変異の解析
Project/Area Number |
08770794
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50237426)
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Keywords | 感情障害 / セロトニントランスポーター / 遺伝子 / SSCP |
Research Abstract |
双極性障害21例(男性11,女性10)と大うつ病性障害9例(男性6,女性5),健常人30例について,PCR-SSCP(polymerase chain reaction-single strand conformation polymorphism)の方法で,セロトニントランスポーター(5-HTT)遺伝子のコーディング領域,第2エキソンから第14エキソンの配列について突然変異を検索した.その結果,電気泳動の条件に何通りか試みてもバンドのシフトは認められず,今回調査した症例には5-HTT遺伝子のコーディング領域に変異をもつものはないと考えられた.1996年に外国の研究グループより,大うつ病性障害の1例で255番目のアミノ酸がロイシンからメチオニンに変わる点突然変異が報告された.現在上記30例を含む症例を用いてこの変異を検索中であるが,まれな変異であることから,5-HTT遺伝子のコーディング領域の変異は感情障害の遺伝的病因にとってあまり重要ではない可能性がある. また,同年に5'プロモーター領域の配列に,反復配列の長さが44塩基だけ異なる2種類の多型がなることが報告された.この報告によると,培養細胞で発現させた場合にプロモーター領域の配列が長いアレルの5-HTT遺伝子は,短いアレルの遺伝子より発現量が多いという.さらに,健常人でのデータとして,プロモーター領域の配列が長いアレルと不安の強い性格傾向との相関も1996年に報告されており,5-HTT遺伝子の発現量が感情障害の病前性格に関与する可能性も示唆される.この変異と感情障害との関連についても現在検索中である.
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