1996 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型痴呆脳におけるアシロイドP成分遺伝子発現の検討
Project/Area Number |
08770795
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大和田 二朗 順天堂大学, 医学部, 助手 (10276503)
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Keywords | アルツハイマー型痴呆 / アシロイドP成分 / ISH法 / mRNA |
Research Abstract |
アミロイドP成分(AP)遺伝子のエクソン部位の約300塩基をPCRで増幅しサブクローニング後,シークエンスを確認した上で,アンチセンスDNAを基にRNA polymeraseを用いてdigoxigeninでラベルしたRNAリボプローブを作製した。これにアルカリフォスファターゼで標識した抗digoxigenin抗体を免疫反応させ,発色をおこなった。この方法により5例のアルツハイマー型痴呆(AD)患者剖検脳と5例の正常対照剖検脳および肝組織のホリマリン固定切片においてnon-isotopic in situ hybridization(ISH)を行った。その結果,ADおよび正常対照剖検脳のいずれにおいても,アンチセンスプローブにより大脳皮質の第I層から第VI層にかけての錐体細胞を含む種々のタイプの神経細胞に広汎に反応が認められた。また,淡蒼球,被殼などの大脳基底核においても神経細胞に全般性に反応が認められた。AD検体においては,反応を示す神経細胞が減少していたが,このことはADでは全体の神経細胞が減少していることを反映していると考えられた。ADおよび正常対照剖検脳のいずれでも,神経膠細胞では反応はみられなかった。また,アンチセンスプローブによる反応は肝細胞においても認められ,その反応形態はいままでに報告されたものと同様であった。センスプローブではこれらの反応は認められなかった。これまでにAPについては肝細胞以外での産生は明らかではなかったが,今回の結果は神経細胞においてもAPが産生がされている可能性を示している。ADの老人斑や神経原線維変化の出現の過程に,神経細胞由来のAPがより密接に関与している可能性が示された。
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