1996 Fiscal Year Annual Research Report
I型糖尿病の膵島細胞傷害におけるFas抗原の関与の検討
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08770839
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
稲田 千鶴子 久留米大学, 医学部, 助手 (60193554)
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Keywords | Fas / Fas ligand / サイトカイン / 膵島細胞 / 糖尿病 |
Research Abstract |
正常マウスの膵島細胞が低濃度のIL-1刺激によりFasを発現するという知見に基づき,1型糖尿病自然発症モデル動物であるNODマウスの膵島炎におけるFasおよびFas ligandの発現を検討した。 糖尿病未発症の8周齢から20週齢の雌性NODマウス8匹の膵をブアン液により灌流固定し,凍結切片を作製した。ハムスター抗Fas抗体およびアビジン標識抗ハムスターIgG抗体を用いてFasの免疫染色を行ったところ,14週齢のマウス膵切片において膵島内にFas陽性細胞の存在が示された。 糖尿病未発症の雌性NODマウスの膵島をcollagenase消化により単離し,RNAzolによりRNAを抽出した。逆転写酵素によりcDNAを合成し以下のprimerを用いてFasおよびFas ligandに特異的な塩基配列を増幅した。Fas : 5'-ACAGTTAAGAGTTCATAC-3',5,-GGTTGCTGTGCATGGCTC-3'Fas ligand : 5'-CCTGTGTCACCACTACCACC-3'5'-GCCCATATCTGTCCAGTAGT-3'。対照としてはβ-actinのmRNAを用いた。 FasのmRNAは8〜20週齢の各週齢の雌性NODマウスの膵島において検出され,Fas ligand mRNAも12週齢および20週齢で検出された。 以上の成績より,NODマウスの膵島炎におけるβ細胞破壊に,浸潤細胞のFas ligandによる膵島細胞のFasを介するapoptosisが関与している可能性があると考えられる。
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