1996 Fiscal Year Annual Research Report
1番染色体短腕に座位する新規造血器腫瘍疾患関連遺伝子の単離
Project/Area Number |
08770870
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
有山 武志 近畿大学, 医学部, 助手 (00278665)
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Keywords | 1番染色体短腕 / 造血器腫瘍 / 染色体物理地図 / FISH法 / 転座切断点 / 1p36.1 / t(1;17) |
Research Abstract |
1995年,研究者らはヒト1番染色体短腕に特異的な411個のDNAマーカーを単離し,これらを用いた蛍光in situハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization;FISH)法で,平均マップ距離が約0.3Mbの高精度・高密度なヒト1番染色体短腕物理地図と1p36.1領域の配列地図を作製している(Genomics Vol.25:114-123,1995).この染色体物理地図と配列地図をもとに,1番染色体短腕に転座切断点を有する造血器腫瘍症例での解析を行い新規造血器腫瘍疾患関連遺伝子を単離することを目的に本研究を開始した.まず,1p36.1領域の配列地図(tel(cCI)163-41-11-1-226-586-568-614-631-665-451-199-190-561-241-74-176-652-cen)をもとに,近年開発したprophase FISH ordering systemとstretched DNA FISH法で1p36.1領域のさらに高精度・高密度な配列地図を作製した.次に,この配列地図を用い,t(1;17)(p36.1;q21.3)と1p36.1領域に転座切断点を認めた骨髄増殖性疾患症例の転座切断点の解析を行った.しかし,1p36.1領域内には転座切断点を認めなかったため,1p36.1からセントロメア側へ配列地図を延長し解析を進めた.結果,tel-(cCI)652-484-67-670-16-break point-440-21-cenと転座切断点の座位を同定することができた.このことは,従来のG-バンド分染法による染色体分析では1番染色体の転座切断点は1p36.1としか同定し得なかったが,今回の解析ではDNAマーカーcCI-16とcCI-440の間,つまり,転座切断点が1p34.2-p33であることを確認することが可能であった.したがって,このヒト1番染色体短腕物理地図と1p36.1領域の配列地図の有用性が示された.現在は得られた転座切断点近傍のDNAマーカーcCI-16とcCI-440を用い,転座切断点そのものを含むYACクローンを単離している.今後そのYACクローンを用い転座切断点の遺伝子を同定する予定である.
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