1996 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈瘤の人工血管置換術による左心室と動脈系の相互作用の変化に関する研究
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08770925
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
鈴木 衛 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (60272910)
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / 造影用圧センサー付カテーテル / 人工血管置換術 / 実効動脈エラスタンス / 超音波ドップラーエコー / 心機能 |
Research Abstract |
1996年4月から12月までに、同意を得た腹部大動脈瘤患者5名(全例男性、平均67.8歳±4.4)に対し、造影用圧センサー付カテーテルを用い、人工血管置換術前および術後のEa(実効動脈エラスタンス)を算出した。Eaは術前に比べ平均36.08%±9.73増大した。全末梢血管抵抗は増大し、収縮期圧の上昇および拡張期圧の軽度上昇あるいは低下がみられた。これらより、Eaは全末梢血管抵抗の増大により変化したのではなく、人工血管置換によるコンプライアンスの低下および収縮期圧の上昇により増大したものと考えられた。以上より腹部大動脈瘤に対する人工血管置換は、心機能に影響を及ぼすものと考えられた。 これまでに行ってきた心臓カテーテル検査による方法では、人工血管置換術前後におけるEaの評価しかできず、術直後あるいは術後遠隔期におけるEaの評価はできなかった。しかし、超音波ドップラーエコーにより経時的に左心室の容積変化を計測し、橈骨動脈の圧波形を同時記録することで得られた一回心拍出量とdicrotic notchの圧で近似された収縮末期圧より、Eaが算出される。この方法を用いることで、術前後だけではなく、術直後あるいは術後遠隔期におけるEaの評価が可能である。大動脈の一部を人工血管に置換し、その結果変化した血管特性は心機能に与える影響を評価するには、術直後あるいは術後遠隔期におけるEaの算出が必要である。本研究を、心臓カテーテル検査に加え超音波ドップラーエコーを用いた総合的研究に発展させたいと考える。
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