1996 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光生体顕微鏡を用いたラット肝移植における胆汁排泄機能障害発生機構についての検討
Project/Area Number |
08770936
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
隈元 雄介 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50245510)
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Keywords | フリーラジカル / 肝移植 / ミトコンドリア機能 / 胆汁排泄機能 |
Research Abstract |
移植肝のパラメータとして、移植後有効な胆汁が産生されるかどうかがもっとも重要なファクターである。これまでには我々は、冷保存時間延長による胆汁排泄障害の検討、および胆汁排泄のエネルギー供給源として密接な関係をもつミトコンドリア機能との関係、および冷保存再灌流障害のひとつの原因と考えられるフリーラジカルの関与について検討を行ってきた。我々のdihydro-rhodaminine123によるラジカル産生検討において、冷保存だけではフリーラジカルの産生はみられなかったが,再灌流をすると保存時間が長い群ほどラジカルの産生が多く,特にzonationとしてはperiportal regionを中心としていることが明らかとされた.また,16時間保存された肝臓の胆汁排泄機能,ミトコンドリア機能も、やはりperiportal region優位な機能低下を示すことがrhodamine123による検討,胆汁の胆汁酸・リン脂質排泄量の測定によって明かとなった。時間的にもラジカル産生はミトコンドリア機能低下に先立つことにより機能低下の原因としてフリーラジカルの関与が考えられた.これを明かとするために,抗酸化剤EPC-Kの投与による効果を検討したところ、EPC-K投与によりperiportal region中心のラジカル生成を減弱させ,ミトコンドリア機能の低下、胆汁酸依存性胆汁の減少を軽減させることに成功した.以上からその発生メカニズムにはperiportal regionのフリーラジカルが関与していると考えられた。血球成分のないラットの体外灌流モデルでは、フリーラジカルの供給は肝細胞・血管内皮細胞であると考えられる。生体内では白血球が最大のラジカル供給源であることは既知のとおりであるが血球成分の影響を除外した状態で起る酸素ストレスでも十分な機能障害が起ることが示されたことは重要な所見と考える。
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Research Products
(1 results)