1996 Fiscal Year Annual Research Report
直腸肛門癌治療動物実験モデルの作成と集学的治療効果の検討
Project/Area Number |
08770985
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
石川 博文 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (10275323)
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Keywords | VX-2腫瘍 / 直腸癌 / 実験モデル / 血管新生 |
Research Abstract |
1.動物実験モデルの作成 実験動物として体重2.5kg前後のNew Zealand White Rabit 12羽を使用した。ネンブタール麻酔下に開腹し、実験腫瘍(VX2腫瘍)を移植した.移植方法は漿膜下(6羽)と粘膜下移植法(6羽)を試みた.漿膜下移植法は腹膜翻転部直下のに日置らの方法に準じ腫瘍細胞10^6個を含んだ細胞浮遊液0.1mlを26G注射針にて移植した.粘膜下移植法では可及的に無菌的に処置を行った後に経肛門的に腹膜翻転部付近の粘膜下に同じ方法で移植した.移植後第1.3週後に犠死させ,直腸及び他臓器への転移の状況を病理組織学的に検討した.また生着した直腸の腫瘍については今後の治療効果の検討上,血管新生と免疫原性の状態を把握する必要があるため免疫組織化学染色を用いて血管内皮細胞,血管内皮細胞増殖因子,T細胞抗原について検討した. 2.移植成績 現時点では多くの羽数をこなせていないが,まず粘膜下移植法では今回生着を認めなかった.理由は明らかではないが細胞数が不足しているためか,感染が原因ではないかと思われる.漿膜下移植法では腹膜翻転部直下の移植部周囲から細胞がこぼれでて腹膜播種を形成し,壁外浸潤型のモデルとなってしまった.肝転移は認められたものの安定した数,大きさではなかった.腫瘍血管内皮細胞は染色されたが,その内皮細胞増殖パターンは通常の周辺型でなく不均一であった.放射線照射及び血管新生阻害剤用動注カテーテル留置は今回の期間では行えなかった. 3.今後の展望 まずさらに羽数をこなし安定した下部直腸担癌Rabittを作成する必要がある.放射線照射および血管新生阻害剤用動注カテーテル留置を急ぐ必要がある.次のステップとして術前照射が肺転移を促進するかがあるが,これについても基底膜の免疫組織化学染色(MMP)によりさらなる発見が期待される.
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