1996 Fiscal Year Annual Research Report
頭部外傷後痴呆の機序の解明-前頭葉ドーパミン・レセプターの重要性
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08771076
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小坂 恭彦 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30264766)
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Keywords | 脳挫傷 / ドーパミン / in vivo microdialysis / モ-リスの水迷路試験 / 前頭葉皮質 |
Research Abstract |
本実験において、まず脳挫傷モデルの作成であるが、200〜300gの雄性Wistar系ratに対して、右頭頂葉にわれわれが独自で開発したfluid percussion装置を用いて2.5〜3.5atmの圧力を加えて作成した。このようにして作成されたラットの脳挫傷モデルにおいて受傷後のドーパミン放出量を両側前頭葉皮質においてin vivo microdialysis法を用いて測定した。ドーパミン放出量の測定は、無麻酔、無拘束下に脳挫傷ラットの前頭葉皮質に人工髄液を潅流しその潅流液を拘束液体クロマトグラフィーを用いておこなった。またそれと同時に学習記憶障害をモ-リスの水迷路試験により検討した。その結果であるが、ドーパミン放出量は、慢性期、特に受傷後1ヵ月目において、両側前頭葉皮質で、sham ratに比較して、有意に低下を認めた。また高カリウム溶液による刺激性放出量も有意に低下を認めた。またモ-リス水迷路試験においても慢性期においてsham ratと比較して有意に学習獲得障害を認めており、この両者の結果に相関があることが、示唆された。次にドーパミンD1, D2レセプターmRNAの発現量をノーザンブロット法を用いて、現在検索中であり、またドーパミンレセプターの組織学的検索を抗レセプター抗体を用いた免疫組織化学的検索にておこなっている。ドーパミンレセプターのアゴニスト、アンタゴニストの投与による改善効果の実験は、現在投与薬剤や投与方法、投与量等を検討中である。
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