1996 Fiscal Year Annual Research Report
悪性星細胞腫へのTIMP遺伝子導入による腫瘍侵襲能抑制の可能性
Project/Area Number |
08771094
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松澤 和人 東海大学, 医学部, 助手 (50246120)
|
Keywords | matrix metalloproteinases / TIMP-1 / astrocytomas / invasion |
Research Abstract |
マウス脳腫瘍細胞株C6グリオーマをマウス脳内に移植し、TIMP-1 cDNAを含むベクターを組み込んだアデノウィルスを感染させたが、TIMP-1 cDNAを含まないコントロール群との間に有意差を認めなかった。すなわち、いずれの群でも腫瘍増大、浸潤の程度に差を認めず、TIMP-1を組み込むことによる腫瘍浸潤能の抑制効果は得られなかった。培養細胞レベルにおけるTIMP-1の腫瘍浸潤能抑制効果はすでに証明しており、脳腫瘍細胞のマウス皮下への移植に対する増殖能抑制効果もすでに報告されている。しかし、それらは腫瘍細胞に直接TIMP-1 cDNAを組み込んだ後に培養、あるいは皮下移植した結果を見ているのであり、ウィルス懸濁液を注入した場合については未知であった。本研究の問題点として、ウィルスDNA内へのTIMP-1 cDNA導入効率が不良であったこと、及びTIMP-1発現効率が十分でなかったことがあげられる。TIMP-1は細胞外マトリックスを破壊するMMP-2と1対1で反応するインヒビターであるため、肉眼、あるいは光学顕微鏡レベルで浸潤能抑制効果を評価可能とするには相当量の蛋白レベルでのTIMP-1の発現が必要となる。本研究モデルにおいて必要十分なTIMP-1を発現させるためには、マウス脳容積を上回るほどのウィルス懸濁液の注入が必要と考えられた。現在、より発現効率の高いベクターの開発を行っている。
|