1996 Fiscal Year Annual Research Report
接着性タンパク質-Polyphenolic protein-の組織接合材への応用
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08771154
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉松 千晶 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90281401)
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Keywords | polyphenolic / 細胞接着 |
Research Abstract |
人工関節置換術等のインプラントを用いた手術では、いかに速やかな初期固定を獲得するかが重要な問題となっている。一方、海棲二枚貝であるイガイから抽出されるpolyphenolic protein(ppp)は、wet environmentにおいても強力な接着能を発現することが判明している。今回の研究では、pppのインプラントと周囲組織とを固定する接合材としての応用に関して、以下の点について検討した。 1.pppを塗布した細胞培養皿に対するchick embryoの軟骨細胞およびヒト線維芽細胞の接着性軟骨細胞および線維芽細胞のいずれも末処理培養皿と比較してppp塗布培養皿に対して優位な接着性を示し、その接着率は60分間で約90%を示した。 2.各種インプラント材に対する軟骨細胞接着能の検討 コバルト合金、ステンレスに対しては、軟骨細胞はppp塗布群において末処理群に比べて優位な接着性を示したが、チタン合金に対してはppp塗布群、末処理群ともに軟骨細胞の接着性に有意な差は見られなかった。 3.in vivoにおけるppp塗布インプラントに対する周囲組織の生体反応 pppを塗布したコバルト合金を家兎大腿骨骨髄腔に留置し3日後にこれを抜去したところ、金属表面に接着した単位面積あたりの細胞数は、末処理群と有意な差が見られたが抜去後の周囲骨髄腔組織におけるリンパ球、破骨細胞、サイトカインの発現状況に関しては免疫組織学的には有意な差は見られなかった。 以上の結果より、pppをインプラント表面にコーティングすることにより、初期の細胞接着性が高まることが判明した。このことより、pppのインプラントコーティング材としての応用の可能性が示唆された。
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