1996 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部室傍核における疼痛刺激と循環反応に関する一酸化窒素の生理的役割の検討
Project/Area Number |
08771219
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
廣瀬 宗孝 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (50275228)
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Keywords | 疼痛 / 血圧 / 一酸化窒素 / 視床下部室傍核 / ストレス |
Research Abstract |
脳内の一酸化窒素(NO)の産生酵素であるNO産生酵素(NOS)の分布が近年明らかとなり、視床下部室傍核にも特異的に存在することが知られている。視床下部室傍核(PVN)はVasopressinの産生部位であり、交感神経活動にも関与している。一方、PVNは情動反応にも関与することが知られ、情動体験として定義される疼痛とも関与するとする報告もある。この研究では疼痛刺激に対する血圧変化におけるPVNでのNOの役割を明らかにした。実験はペントバルビタール麻酔下のウイスターラットを用い、脳定位固定装置により左PVNにNO測定用の電極(インターメディカル)、右PVNぬNOS阻害薬注入用のステンレスカニューレを挿入した。大腿動脈より動脈圧を測定し、侵害刺激はテ-ルクランプ法を用いた。NOS阻害薬は人工脳脊髄液に溶解したL-NMNA (30mg/ml)を用いた。L-NMNAをPVNに5μl注入した10分後にテ-ルクランプを行った群(N=10)と、人工脳脊髄液のみ5μl注入したコントロール群(n=10)において血圧変化を比較した。コントロール群ではテ-ルクランプ後に平均血圧は8±2mmHg増加したのに較べ、L-NMNA投与群では逆に-17±8mmHg低下した。NO濃度はコントロール群では血圧変化と同時に増加したが、L-NMNA投与群では変化しなかった。PVNにおけるNOは、疼痛刺激による血圧変化に重要な役割をもつ可能性が示唆された。
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