1996 Fiscal Year Annual Research Report
HMG-CoA還元酵素阻害剤の腎癌細胞増殖抑制における作用機序とアポトーシス誘導
Project/Area Number |
08771277
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
橋本 紳一 自治医科大学, 医学部, 助手 (30237937)
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Keywords | シンバスタチン / アポトーシス |
Research Abstract |
HMG-CoA還元酵素阻害剤によるヒト腎細胞癌の増殖抑制における作用機序をアポトーシスの面から検討するために当教室で保有しているヒト腎癌細胞株(KU-2,VMRC,Caki-1)を用いて、以下の3点について検討した。 1.細胞形態の観察 各細胞株のsingle cell suspension2×10^5cell/mlを調整し、シンバスタチンの濃度は、以前のAlamar Blueアッセイで得られたIC_<50>より、5μg/mlの濃度で添加し、72時間後に位相差顕微鏡により観察した。500個の細胞を観察したところ、アポトーシス小体を形成した細胞は72%に認められた。 2.DNAの電気泳動 細胞形態観察と同様にシンバスタチン5μg/mlで各細胞株に添加し、72時間後に各細胞株(1.5×10^6細胞)よりDNAを抽出し、アガロースゲル電気泳動法にて検討した。いずれの細胞株においても約200bpのラダーが検出された。 3.フローサイトメトリーによる検討 シンバスタチン添加をしなかった各細胞株と、同様にシンバスタチン5μg/mlで72時間処理した各細胞株(1.5×10^6細胞)を、冷エタノールにて4℃で6時間固定後、RNase Aで37℃、30分インキュベートし、PI染色を施行した。これらの細胞をBecton-Dikinson社のフローサイトメーターを用いて検討した。アポトーシス細胞はシンバスタチン処理により、KU-2では10.5%から52.3%に、VMRCでは12.7%から44.3%に,Caki-1では14.1%から60.3%に増加した。 以上より、ヒト腎癌細胞にHMG-CoA還元酵素阻害剤(シンバスタチン)を5μg/mlで作用させるとアポトーシスが起こることが確認された。
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