1996 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺の癌化に伴う前立腺特異抗原(PSA)の糖鎖構造の変化についての検討
Project/Area Number |
08771278
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
寿美 周平 獨協医科大学, 医学部, 助手 (20275746)
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Keywords | 前立腺特異抗原 / 糖鎖構造 / 癌化 / レクチン親和性クロマトグラフィー / コンカナバリンA |
Research Abstract |
背景:前立腺特異抗原(PSA)の臨床上の有用性は高く評価されているが、癌特異性を欠くため限定されたものにとどまっている。最近、糖蛋白中の糖鎖構造が悪性化に伴い変化することが各種の臓器で報告されている。糖蛋白の一種であるPSAの糖鎖構造はAsn-45位に結合したN結合型糖鎖のみであることが明らかにされているが、前立腺の癌化に伴うPSAの糖鎖構造の変化に関する報告は殆どみられない。本研究では前立腺肥大症(BPH)と前立腺癌(PCa)の組織中PSAの糖鎖構造の相違をレクチン親和性カラムクロマトクラフィーにて検討した。対象および方法:BPHとPCaの組織は前立腺疾患にて開腹手術を施行された患者より本人の同意の上、採取した。採取後直ちに凍結し-80℃にて保存した。組織にバッファーを加えホモゲネートしこれを105000gにて20分間遠心、上清をコンカナバリンA(Con A)カラムに添加した。α-methyl-D-mannoside(10および500nmol/l)を含むバッファーにて溶出し、非結合、弱結合、強結合の3分画に分離した。結果:Con A非結合分画の相対量がPCa組織においてBPH組織に比して増加していた。考察:PSAの糖鎖構造がPCa組織において質的に変化していることが示唆された。PSA糖鎖構造の癌化に伴う変化がさらに詳細に解明され、それらがさらに血流サンプルにおけるPSAの質的変化の検出に結びつくならば、PCaの早期診断において画期的な意義をもたらすものと考えられる。
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