1996 Fiscal Year Annual Research Report
排卵過程における卵巣内IGF-IGFBPおよびレニンアンギオテンシン系の作用
Project/Area Number |
08771357
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小山 典宏 杏林大学, 医学部, 助手 (50271268)
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Keywords | IGF-I / レニンアンギオテンシン系 / 排卵 / IGFBP |
Research Abstract |
(1)ヒトreconbinant IGF-Iは、ゴナドトロピン非存在下で潅流12時間の期間中排卵を惹起しなかった。基本潅流液のみで潅流した対照群の卵巣におけるAngII分時分泌量は潅流期間中低値であったが、IGF-I投与によりAngII分時分泌量は対照群に比し有意に刺激され、用量反応性に分泌量の増加が認められた。またIGF-Iは12時間の潅流で有意に卵胞径を増大させた。 (2)基本潅流液で潅流した対照群およびIGFBP-3のみで潅流をした全ての卵巣において排卵は認められなかった。hCG単独群、Ing/mlおよび10ng/mlのIGFBP-3同時添加群では排卵が惹起されたが、100ng/ml以上の濃度のIGFBP-3投与によって卵巣1個あたりの排卵数は有意に抑制された。しかしhCG投与後卵胞破裂に至るまでの時間の平均は、hCG単独投与群IGFBP-3同時投与群ともに9時間前後であり、IGFBP-3はhCGによって惹起される排卵時間に影響を与えなかった。IGFBP-3単独投与群におけるAngII分時分泌量は、基本潅流液のみで潅流した対照群と同様に、潅流期間中有意な変動が認められなかった。hCG投与によって認められたAngII分時分泌量の増加はIGFBP-3を投与することによって潅流4時間および6時間で抑制が認められた。 以上のことよりIGF-Iは卵胞発育を惹起し、またAngIIの分泌を刺激することが明らかになり、密接な関わりを持つ可能性が示唆された。またIGFBP-3はhCG投与によるIGF-Iの作用を減じる可能性が考えられた。
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