1996 Fiscal Year Annual Research Report
耳下腺腫瘍における酸性及び塩基性線維芽細胞増殖因子の検討
Project/Area Number |
08771417
|
Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
松下 太 大分医科大学, 医学部, 助手 (10274763)
|
Keywords | 耳下腺腫瘍 / 多形腺種 / 線維芽細胞増殖因子 / 免疫組織化学染色 / 細胞培養 |
Research Abstract |
1.目的 酸性及び塩基性線維芽細胞増殖因子(aFGF,bFGF)はヘパリン結合性増殖因子群の一員であり,ともに血管内皮細胞の増殖効果や神経外胚葉系に対する生物活性を有する.また,種々の良性及び悪性腫瘍にも強い発現が見られ,腫瘍の分化や増殖への関与が示唆されている.本研究では,耳下腺多形腺種(PA)におけるFGFの関与を検討するために,aFGF及びbFGFの発現を免疫組織学的に検索するとともに,PA細胞からのaFGF及びbFGFの抽出・同定を行った.さらに,PA培養細胞へのFGFの影響について検討を行った. 2.研究対象および方法 (1)免疫組織学的検討:外科的に摘出した正常耳下腺組織を含む多形腺種(PA)50例を用い,抗aFGF抗体と抗bFGF抗体を一次抗体としてSAB法にて免疫染色を行った. (2)FGFの抽出,同定:PA摘出標本から,液体クロマトグラフィにてヘパリン結合蛋白を析出させ、得られた分画のウェスタンブロッティングにて抗aFGF及び抗bFGF抗体に陽性を示す蛋白を同定した. (3)FGFの腫瘍増殖促進活性の測定:摘出新鮮PA標本よりプライマリ-カルチャーを作製し,aFGFとbFGFを加え反応させた.[^3H]サイミジンにてラベルを行った後,取り込まれた[^3H]を液体シンチレーションカウンターにて測定した. 3.結果とまとめ 免疫染色では,正常耳下腺組織のaFGF及びbFGFの陽性率は各々62%、58%であり、PA組織では44%と58%であった.さらにPAから抽出したヘパリン結合蛋白のウェスタンブロッティングにて分子量18kDaの蛋白がaFGF及びbFGFと同定され,腫瘍内のFGFの存在が明らかとなった.さらに,PA培養細胞増殖の検討にて,aFGF及びbFGFによりPA培養細胞の増殖促進が確認され、aFGF及びbFGFのPAの増殖への関与が示唆された.
|
Research Products
(1 results)