1996 Fiscal Year Annual Research Report
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08771511
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
澤 浩 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20264773)
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Keywords | 人工的網膜円孔 / 成熟有色家兎 / 創傷治癒 / 細胞増殖因子 / EGF / 人工的網膜剥離 / 増殖細胞 / グリア細胞 |
Research Abstract |
臨床研究においてEGF (Epidermal growth factor)は、角膜上皮細胞の創傷治癒が促進されていることはすでに報告されており、また、昨年の我々の研究結果でも、自己閉鎖創の創傷治癒過程で強角膜部位に明らかな組織学的な細胞増殖を確認している。また、我々はヒト網膜黄斑円孔にEGFを塗布することにより円孔の組織重点を得、EGFの有効性を発表している(臨床眼科49 : 341〜343, 1995)。今回も、EGFに着目し成熟有色家兎を用いた人工的網膜円孔の治癒にEGFが効果をもつかどうかを検眼鏡的及び組織学的に調べた。 方法は、人工的後部硝子体剥離を作製し、熱加工したガラス管を網膜表層に刺入し約1〜2乳頭経の人工的網膜剥離を生じさせた。この人工的網膜剥離部分にソフトテ-パ-ニードルを用い能動吸引にて感覚網膜を欠損させ人工的網膜円孔を作製した。円孔作製後、液一空気置換術にてを眼内(硝子体)を空気に置き換え細胞増殖因子のEGF(濃度10μg/200μl) 200μlを円孔に滴下した。最後にSF60.2mlを眼内注入し手術を終了した。また、コントロール群として何も滴下しない群も用意した。 実験結果は、術後2〜3日で網膜剥離は消失し、術後7日頃に人工的網膜裂孔の辺縁は不明瞭になった。ヒトの網膜裂孔とは明らかに異なる治癒過程を示した。家兎では、網膜創傷治癒の程度が大きいと考えられた。しかし、EGFの効果により創傷治癒機転が促進できたかどうかはEGF滴下群とコントロール群では明確な差は認められなかった。トルイジンブルー染色では網膜欠損部にグリア細胞様の細胞が網膜内層を被覆していた。今後この増殖細胞の検索は今後の課題としたい。
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