1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08771530
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
深道 修一 昭和大学, 医学部, 助手 (40276580)
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Keywords | 前房内微小透析法 / 前房内NE濃度 |
Research Abstract |
これまで家兎で前房穿刺法によって前房内ノルアドレナリン(NE)を測定した報告があるが、今回は、前房内微小透析法を用いて同一個体から経時的に前房内NE濃度を測定できた。また、NEおよび上頚部交感神経節電気刺激による眼圧の変化についても測定した。これまで眼圧降下作用には中枢性と末梢性の両者の機序が考えられてきた。眼圧は、片側上頚部交感神経節前線維を電気刺激(1msec,10v,12.5Hz)すると、1分後より5.3±0.7mmHgの急激な降下後、徐々に回復し15分後に刺激前値に戻った。さらに眼圧は上昇し120分後には6.5±1.2mmHg上昇するという二相性の変化を示した。このように中枢性眼圧調節機序には交感神経を介した機序が推測されるので、前房内のNE濃度を測定した。まずNE点眼では眼圧は有意な変化を認めなかった。前房内透析用プローブ挿入固定手術後1時間での前房内NE濃度は22.27pg/ml in dialysateであり、3時間(クロニジン投与直前)では10.41pg/ml in dialysateと減少した。次いで脳室内にクロニジン投与すると1時間後(手術後4時間)では13.3pg/ml in dialysateとなった。透析用プローブ挿入固定手術後のNEの消失を推測すると、術後4時間では2.7pg/ml in dialysateと推測されたが、この値に比べて実際の前房内NE濃度は13.3pg/ml in dialysateと上昇が認められた。このように0.1%クロニジン10μlを脳室内に投与した後のNEの前房内濃度は上昇した。今回クロニジン脳室内投与による前房内NE濃度は、中枢性だけでなく、クロニジンが末梢にも分布した両方の変化の和と考えられる。今後、上頚部交感神経節の切除後に同様の実験を行うことにより、中枢性と末梢性作用を分けてNE濃度の変化を観察できるものと考えられる。現時点では本研究は前房内NE濃度を経時的に観察できる唯一の方法と考えられ、今後さらなる発展が期待できるものと考える。
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