Candida albicansから抽出した発芽管形成誘導物質の分離・精製及び分析

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08771599
• Research Institution: Fukuoka Dental College
• Principal Investigator: 浜高家 尚子 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (50198800)
• Keywords: C.albicans / 形態変換 / 分化誘導 / CHO-K1

Research Abstract

日和見感染の起因菌であるCandida albicansは、酵母形から菌糸形へと形態変換を起こす二形性真菌である。この形態変換そのものが病原因子の一つとして捉えられているが未だ不明な点が多く、そのメカニズムの解明を目的として研究を進めている。
その過程において我々は、C.albicans菌体より酵母形から菌糸形へと形態変換を起こす発芽管形成誘導物質を抽出し、分離することに成功した。この物質は親水性を示す物質であり、またフェノール硫酸に反応したことより糖成分を含む物質であることが考えられる。物質の成分に関しては、現在分析を行なっている。
さらに、この物質が菌を全く異なる形態に変換させたことより、がん化した動物細胞であるChinese hamster ovary cell(CHO-K1)を用いて、細胞における分化誘導活性を調べる目的で実験を行なった。物質を添加した培地でCHO-K1の培養を行なった結果、
(1)敷き石状の細胞形態から線維芽様細胞形態へと変換した
(2)細胞の増殖抑制が認められた
(3)細胞からのTNF-α産生抑制が認められた
C.albicans菌体より得られた物質がどのようなメカニズで細胞に作用しているかは全く分からないが、がん細胞に対して形態的だけでなく機能的にも何らかの影響を与えている事が示唆された。

Research Products

• [Publications] 浜高家尚子ほか: "Candida albicans菌体抽出物質が有する発芽管形成誘導能に関する研究" 福岡歯科大学学会雑誌. 23. (1997)
• [Publications] H.Kaminishi et al.: "Curly hyphae of Candida albicans Formed in Anaerobic Culture." 福岡歯科大学学会雑誌. 21(4). 479-485 (1994)
• [Publications] H.Kaminishi et al.: "Activation of blood clotting factor by microbial proteases." FEMS Microbiology letters. 121. 327-332 (1994)
• [Publications] T.Cho et al.: "A Chemically Defined Medium for Indication of the intracellular State on Morphogenesis in Candida albicans." 福岡歯科大学学会雑誌. 20(1). 1-7 (1992)
• [Publications] T.Cho et al.: "The relationship between cyclic adenosine 3',5'-monophosphate and morphology in exponential phase Candida albicans." J.Med.Vet.Mycol.30. 35-42 (1992)
• [Publications] T.Cho et al.: "Stervation and germ tube formation in the exponential phase Candida albicans" 福岡歯科大学学会雑誌. 16(4). 510-521 (1989)