1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08771648
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
辻本 仁志 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30263859)
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Keywords | マウス顎下線 / 線維芽細胞増殖因子 / 発癌過程 |
Research Abstract |
唾液腺発癌の発生と増殖を促進する因子については、現在までほとんど明らかにされていない。マウス顎下腺では、上皮増殖因子以外に酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)の存在が明らかにされているが、aFGFの顎下腺腫瘍形成における役割は明らかにされていない。本研究では、aFGFと同一成分であることが判明しているendothelial cell growth factor(ECGF)を用い、ECGF投与のマウス唾液腺発癌過程に及ぼす影響につき検討した。8週齢ICRマウスの左顎下腺内に、ジメチルベンズアントラセン(DMBA)0.25mgを投与し、2週間後より実験群1にはECGF0.5mgを、実験群2には基剤を週3回8週間、顎下腺部皮下に投与した。12週後、腫瘍はDMBA投与の左顎下腺で認められ、実験群1,2での癌の発生頻度は20%と13%であった。さに、前癌病変と考えられる管腔・嚢胞様病変は、実験群1,2でそれぞれ80%と40%、60%と20%であった。以上よりECGF投与により著明な発癌率の増加は認めなかったが、管腔・嚢胞様病変が対照と比べ増加した。したがってECGFは、唾液腺癌の前段階の変化として特徴的な嚢胞様病変の形成に関与しているものと考えられた。マウス唾液腺癌より樹立した、2種類の立方形と紡錘形の細胞株を用いて、invitroでのFGFが細胞増殖に及ぼす影響を知るため、ECGF0.1ug/ml、1ug/ml、10ug/ml、100ug/ml処理し、MTTアッセイを行った。立方形の細胞では、処理4日後まで、ECGF濃度の増加に伴い、増殖が促進された。紡錘形の細胞では細胞増殖に影響なかった。尚、どちらの細胞株においても、100μg/mの高濃度の処理では細胞増殖が抑制された。今回の実験では発癌率が低かったため、現在8週齢ICRマウスにDMBA0.25mgを各週で2回投与後、3週間放置し、その後10週間BCGFまたは基剤をその作用を増強するヘパリンとともに週3回で投与する実験群、対照群として、DMBA未投与で、ECGF+ヘパリン、基剤+ヘパリンを投与する群の追加実験を継続中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yura Y: "Hexamethylene bisacetamide as chemopreventive agent in hamster cheek pouch tumorigenesis." Oral Oncol,Eur Cancer. 32B(4). 246-250 (1996)
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[Publications] Yura Y: "Effects of protein kinase inhibitors on the replication of herpes simplex virus and the phosphoryration of viralproteins." Intervirology. (in press).
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[Publications] 由良義明: "ホルボールエステルによるヘルペスウイルス感染細胞融合の促進" 口腔組織培養研究会誌. 5. 103-104 (1996)