1996 Fiscal Year Annual Research Report
原子間力顕微鏡を用いた歯質-接着性充填材界面の解析
Project/Area Number |
08771670
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 洋一 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80231322)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 形状解析 / コンポジットレジン / 界面 |
Research Abstract |
原子間力顕微鏡(AFM)は試料の前処理が不要で、大気中や水中でのin situの観察が可能である。さらに、三次元分析やライン分析による形状解析が容易に行うことができる。本研究では、象牙質接着性コンポジットレジンと象牙質との接着機構を検索するために、AFMによる界面の形状解析を行った。 ヒト新鮮抜去大臼歯の頬側面および舌側面に円柱窩洞を形成し、コンポジットレジン(IMPERVA BONDシステム+LITE-FIL II :IB群、BONDWELL LCシステム+ESTIO LC : BL群)を充填した。水中浸漬1週後、歯軸と平行に切断、表面を10%リン酸水溶液処理し窩底象牙質-充填物界面をAFM観察するとともに、ライン分析による形状解析を行った。AFM観察後、臨界点乾燥、Pt-Pd蒸着し、同一試料のSEM観察を行った。 AFM像では、両群とも界面に間隙は認められず、レジン側から象牙質にかけて連続的に移行していた。象牙質の界面側前縁には数μmの幅の無構造な層が観察された。ライン分析による断面プロファイルは、象牙質前縁の無構造な部位に一致してレジン側から象牙質側へとなだらかな移行型を示し、この移行型は、象牙質表層と表層下へのレジン成分の浸透度の相違によって生じた耐酸性の勾配を表しているものと考えられた。AFM像と同一部位のSEM像では、界面に沿った間隙が認められた。この間隙はAFM像では観察されなかったことから、試料の前処理あるいは観察時の真空環境に伴って生じたものと考えられた。 以上の結果からAFMによるin situの観察およびライン分析応用の有用性が確認され、AFMを用いた界面の形状解析が今後接着機序の解明に大いに寄与することが示唆された。
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