Research Abstract |
光重合型コンポジットレジンの主観的臨床評価である充填操作性を客観的に評価することを最終目的とし,3種の前歯用レジン-クリアフィルアンテリア(クラレ,PAと略),ライトフィルII(松風,LF),エステライト(トクヤマ,ES)-と5種の前臼歯併用レジン-AP-X(クラレ,AP),エスティオLC(GC,EL),プログレス(鐘紡,PG),カリスマ(Kulzer,KS),ハ-キュライトXRV(Kerr,HX)-を使用して柔らかさ,付着性,圧延性を測定するとともに,操作感に関する官能試験も行い,関連性を調べた。柔らかさの指標としては,未重合レジンに直径5mmのステンレス円盤をクロスヘッドスピード毎分60cmで加圧し,応力が50gfに達するまでの時間を計測した。また,レジンに円盤を50gfの荷重で圧接し,毎分60cmのスピードで逆方向に引き上げ,離れるまでの時間(付着時間)とその際の最大応力(付着応力)を計測した。その結果,PGは最も柔らかく,次いでPA,LF,ESの順になり,PG以外の前臼歯併用レジンは硬いと判断された。付着時間は,PGとPAが他の材料よりはるかに長く,その他はほぼ同程度であった。付着応力は,HX,EL,KS,AP,ES,LF,PA,PGの順に小さかった。圧延性は,PGとPAが大きく,HXとELが小さかった。次に,歯科医師20名によるレジンの操作感の官能試験結果との関連を検討した。その結果,各項目の測定値が近似しているものは感覚的にも類似した評価が得られる傾向があった。しかし,一致性のないものも多数見られ,特にPGは特徴的な粘性挙動を示した。これは,各製品によりモノマーの種類,フィラー量および分散が異なり,粘性挙動に多要素が影響していることによると考えられた。よって,明瞭な関連を明らかにするためには組成等を一定化した材料でさらに詳細に検討する必要がある。
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