1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯肉,歯根膜由来線維芽細胞のIL-1R発現に関する研究
Project/Area Number |
08771715
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 千恵子 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30264435)
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Keywords | IL-1 recoptar / 線維芽細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
臨床的に健康な歯肉を有する成人の辺縁歯肉組織から健常ヒト歯肉由来線維芽細胞を歯周炎を有する辺縁歯肉から炎症性ヒト歯肉線維芽細胞を培養し実験に使用した。両培養細胞のインターロイキン1レセプター(IL1R)の発現量ををELISA法、免疫染色によって調べたところ炎症性ヒト歯肉線維芽細胞の方が健常ヒト歯肉由来線維芽細胞に比べて多くのIL1Rを発現していることが確認された。また、両培養細胞に炎症性サイトカインであるIL1αおよびIL1βを作用させたところ、両者とも時間経過と共にIL1Rの発現が上昇していき18時間以降はその発現が減少した。この時、炎症性ヒト歯肉線維芽細胞のほうだ健常ヒト歯肉由来線維芽細胞に比べて強いIL1R発現の増加を示した。これらのことから、歯周病局所における線維芽細胞は多くのIL1Rを発現することでIL1の影響を強く受け歯周病の進行に影響を及ぼしていることが示唆された。しかし、IL1R発現のメカニズムについてはまだはっきりしていない。そこで歯肉線維芽細胞におけるIL1Rの発現はIL1のautocrine作用、もしくはIL1刺激によって分泌された他のサイトカインを介して引き起こされている可能性が考えた。健常ヒト歯肉線維細芽胞をIL1で刺激した場合プロスタグランジンE2(PGE2)やPDGF-AAの分泌が誘導されることが知られているので健常歯肉線維芽細胞にPGE2とPDGF-AAを作用させてIL1R誘導能について調べたところ、PGE2の刺激ではIL1Rの発現はほとんど認められなかったがPDGF-AAの刺激では時間経過と共にIL1Rの発現が上昇した。よってPDGF-AAの間接的な関与の可能性も示唆された。
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