1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜細胞におけるマトリックスメタロプロテイナーゼへのビスフォスフォネートの影響
Project/Area Number |
08771739
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
仲谷 寛 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (60217924)
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Keywords | ビスフォスフォネート / マトリックスメタロプロテイナーゼ / コラゲナーゼ / ストロムライシン / TIMP |
Research Abstract |
骨粗鬆症の治療薬であるビスフォスフォネートのマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)に与える影響を検索した。ビスフォスフォネートとしては、tildronateを使用した。歯周疾患に罹患していない健康ヒト抜去歯より歯根膜由来線維芽細胞を採取、培養し、tiludoronateを24時間作用させた時のコラゲナーゼ、ストロムライシン、TIMPのmRNAの発現をRT-PCRを用い定量した。さらに、tiludoronateのコラゲナーゼ活性に与える影響については、FITC標識タイプIコラーゲンを用い測定した。 歯根膜由来線維芽細胞に10^<-4>、10^<-5>、10^<-6>、10^<-7>Mのtildoronateを作用させたところ、コラゲナーゼ、ストロムライシン、TIMPのmRNAの発現には影響を与えなかった。 ヒト・コラゲナーゼに10^<-4>、10^<-5>、10^<-6>、10^<-7>Mのtildoronateを添加した結果、コラゲナーゼ活性はtiludoronateにより濃度依存的に抑制された。 以上の結果より、破骨細胞の活性を抑制するため骨粗鬆症の治療薬として用いられているビスフォスフォネートは、歯周炎の進行において、基質破壊の主体をなしていると考えられているコラゲナーゼの活性を歯根膜由来線維芽細胞に影響を与えることなく抑制することもできる。したがって、骨吸収とコラーゲン線維の分解を抑制できるビスフォスフォネートは有効な歯周病の治療薬となり得る可能性があることが示唆された。
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