1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病患者歯肉におけるランゲルハンス細胞の定量的分析-ドーパ取り込み細胞と非取り込み細胞との関連-
Project/Area Number |
08771746
|
Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
野村 寿 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (60267789)
|
Keywords | ランゲルハンス細胞 / 歯周病患者歯肉 / 顕微鏡デジタルカメラ / ドーパ |
Research Abstract |
ランゲルハンス細胞(LC)は表皮や口腔粘膜上皮,特に歯肉に存在する骨髄由来の細胞で,Tリンパ球への抗原提示細胞とされている.Tリンパ球は歯周の炎症に際し細菌抗原に対する反応において重要な役割を果たしている. LCの同定には種々な方法があるが,最近ではLCに対する抗体も作られ,免疫組織化学的方法が用いられてきている.LCの同定法の一つにLCがドーパを取り込む性質を利用したドーパ蛍光法があるが,最近LCにはドーパを取り込むものとそうでないものとがあり,それは機能状態を反映しているのではないかとの報告が見られる. そこで本研究では,臨床的に判定された歯周病患者の種々のステージにおける歯肉内のLCの同定と定量化を試みた.またドーパ含有LCと非含有LCの同定も試みた.歯周病患者からの歯肉を凍結切片にし,LC抗体とABC法の組み合わせによりLCを同定した.次に,顕微鏡とデジタルカメラによって画像をコンピューターに取り込み,画像処理ソフトを使い定量した.LC内のドーパの定性にはドーパの抗体を用い,免疫染色した. 歯周病が重度になるのに比例して,LCの全体数も増加傾向を示した.また,重層扁平上皮における角質層,顆粒層,有棘層,基底層での分布状態を観察したところ,重度になるほど,LCは角質層,顆粒層に多く認められ,逆に有棘層,基底層での分布状態は希薄であった。これは,歯肉炎症におけるLCの細菌抗原に対する反応を表していると考えられる.免疫組織学的方法ではドーパとLCの関連については明らかにできなかったが,現在はドーパ蛍光法を用いて検討している.今後は何故歯周病の程度によって重層扁平上皮の部位でのLCの数に違いがあるのかを明らかにする必要があると思われる.
|