1996 Fiscal Year Annual Research Report
電解液中放電処理によるチタン上へのリン酸カルシウム系セラミックスコーティング
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08771822
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
藤森 伸也 昭和大学, 歯学部, 助手 (00276601)
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Keywords | チタン / リン酸カルシウム / コーティング / 放電 / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
電解液中でチタンを陰極あるいは陽極に用い,放電現象を発生させることにより,チタン表面にリン酸カルシウムをコーティングすることを検討した。 電解液はリン酸三カルシウムを過飽和に溶解したリン酸(2%)/クエン酸(2%)水溶液を用いた。電解液中でチタン板を陰極,白金箔を陽極とし,100nlビーカー内で対向させ,電圧を印加し放電を発生させるとにより,チタン板表面へ電解液成分のコーティングを行った。また,電解液として,リン酸三カルシウムと30%リン酸水溶液のスラリーを用い,電解液中でチタン板を陽極とし,ステンレス板を陰極にして電圧を印加し,チタン板上に電解液成分のコーティングを行った。電解液中放電処理後のチタン板表面をSEMによる観察を行い,EDXおよびX線解析により分析した。 SEMによる観察では,チタン板を陰極に用いた処理ではコーティング層表面は多孔質な塊状物が生成していた。チタン板を陽極に用いた処理表面では,コーティング層は放電により発生したガスがぬけたと思われる細かい凹凸や小孔が観察された。いずれの処理面も厚さ5〜10μm程度であった。EDXによる分析から,陰極処理のコーティング層は,カルシウム,リンが確認された。また,陽極処理のコーティング層には,母材のチタンが拡散し,電解液成分のカルシウムおよびリンとチタンの複合体を形成していると推察された。800℃で30分間の熱処理を行いX線解析で分析すると,陰極処理ではハイドロキシアパタイトのピークが確認された。また,陽極処理ではCaTi_4(PO_4)_6およびTiP_2O_7で構成され,チタン,カルシウムおよびリンの複合体が形成された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 藤森伸也: "チタンの表面処理(第14報)液中放電によるリン酸カルシウム薄膜コーティング" 歯科材料・器械. 15・特27. 96-97 (1996)
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[Publications] Shinya Fujimori: "Thin calcium phosphate coating on titanium by spark discharging in an electrolyte" Fifth world biomaterials congress program and transactions. 2. 220- (1996)
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[Publications] 藤森伸也: "チタンの表面処理(第15報)液中放電によるコーティング層の耐久性" 歯科材料・器械. 16・特28. 138-139 (1996)
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[Publications] 藤森伸也: "液中放電処理により生成させたハイドロキシアパタイトの溶解性" 歯科チタン研究会講演抄録集. 10. 58-59 (1997)