1996 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制剤FK-506を用いた同種骨膜移植に関する実験的研究
Project/Area Number |
08771861
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西嶋 寛 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30208178)
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Keywords | 骨膜 / 移植 / 免疫抑制剤 |
Research Abstract |
顎口腔外科領域の骨欠損部の修復・再建にあたり遊離骨膜移植の有用性が論じられてきた.今回,免疫抑制剤FK-506を用いた同種骨膜移植の有用性を検討した. Brown-Norway系ラット(雄6週齢)の頚骨骨膜を剥離採取し,主要組織適合抗原が異なるLewis系ラット(雄9週齢)の頚骨に作製した骨欠損部に移植.移植骨膜は骨膜内層を欠損部に向け,周囲骨膜および筋組織に縫合固定した. 免疫抑制剤の至適投与量を検討するため,免疫抑制剤FK-506非投与群・0.1mg/kg・0.25mg/kg・0.5mg/kg・1mg/kgの5群を作製し,それぞれ4週間連続投与を行った. FK-506長期投与群(6週間),短期投与群(2週間),非投与群を作製し,移植骨膜からの骨形成状態,新生骨と母床骨との骨癒合状態について経時的変化をX線学的,組織学的に観察を行った. 移植後2週目では投与群では線維性骨が認められ,一部母床骨との間に癒合が認められたが,非投与群ではわずかに石灰化が認められたのみであった.移植後4週目では長期投与群,短期投与群ともに層板構造を伴う成熟した骨が認められ,新生骨と母床骨は癒合一体化しているのが認められた.移植後6週目では短期投与群では新生骨と母床骨の間に肉芽組織の迷入が認められ,新生骨が拒絶されているのが認められた. 今後症例数を増やしていくとともに,免疫抑制剤投与中止の可能性を検討していきたい.
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