1996 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜疾患の基礎的研究(環境汚染物質の影響について)
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08771874
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川崎 五郎 長崎大学, 歯学部附属病院, 講師 (60195071)
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Keywords | PCB / 難治性口腔粘膜疾患 / ビタミンA / 薬物代謝酵素 |
Research Abstract |
本研究は,原因不明の難治性口腔粘膜疾患や歯肉増殖性疾患の病因の一部が環境汚染物質である有機塩素化合物により薬物代謝酵素の誘導と,それに続くビタミンAの減少によるものであり,種々の免疫パラメーターや酵素を誘導しホルモンリセプターの発現に影響を与え発症するという仮説を証明することを目的とした. マウスにPCB等を投与し,投与後1日,4日,7日,14日,30日,60日に屠殺し,舌,頬部,歯肉の粘膜における形態変化を光顕および電顕にて観察した.特に細胞質内における空胞の出現と核の異常がみられた.一方同組織をポッターホモジナイザーを用いてホモジナイズし,薬物代謝酵素の測定(AHH活性,NADH-cytochrome c reductase,NADPH-cytochrome c reductase),vitamin Aおよびβカロチン量の測定を行い薬物代謝酵素の誘導とそれに伴うビタミンAの減少を確認した.細胞質内の空胞に関連して,Lysosome酵素である,cathepsin D,B,Lおよびacid-phoshatase,β-glucuronidaseについて,蛍光光度計および分光光度計を用いて酵素活性の測定を行った.酵素活性はやや上昇したものの有意な差は認められなかった.TGF-β,b-FGF,EGFの測定をwestern blottingにて行い,ERISA法による定量をおこなったが有意差はみられなかった.また,アンドロゲンリセプター,エストロゲンリセプター,カドヘリンを,モノクローナル抗体を用い,プレートリーダーにてERISA法による定量を行ったが有意差はみられなかった.アポトーシスとの関連についての研究の必要性が示唆された.
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