1996 Fiscal Year Annual Research Report
携帯型筋電計による口腔異常習癖者の咀嚼筋活動の解析
Project/Area Number |
08771883
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
溝口 英治 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40245634)
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Keywords | 携帯型筋電計 / 口腔異常習癖 / 顎関節症 |
Research Abstract |
[目的] 本研究は、携帯型筋電計を用いて夜間就寝時の咀嚼筋機能動態を記録、解析し、顎関節疾患者と健常者を比較し、口腔異常習癖と顎関節症の発症との関連を検討することを目的とする。 [対象と方法] 対象は、自己申告、歯牙の咬耗の観察により、明らかに夜間の異常習癖があると診断された20代の男性3名、女性5名であった。被験者に携帯型筋電計を貸与し、左右の咬筋中央部、側頭筋前腹相当部の皮膚上に電極を設置させ、夜間就寝時の筋活動を5日間記録させた。 [分析法] 1.筋電図の原波形は、包絡線形成器にかけて平滑化した。 2.筋の活動回数は、1個の波形を1回の筋活動とし集計した。 3.波形の強さの解析は、各々の被験者に最大咬みしめを行わせたときの最大電位を基準としてスライスレベルを設定し、最大電位の3/4、1/2、1/4を順にレベル4、3、2、採得可能な最低レベル(35μV)をレベル1とした。 4.被験者ごとの各々の咀嚼筋における各スライスレベルのバースト出現回数と持続時間を求め、1日あたりの平均値を算出した。 [結果] 夜間の最大筋活動量は、レベル3以下であった。 夜間筋活動のスライスレベルは、レベル1のものが最も出現頻度が高く、平均はレベル2以下であった。 夜間の筋の活動回数には、2群間に統計学的有意差はなかった。 夜間の筋活動の強さは、顎関節症患者の方が強い傾向にあったが、統計学的有意差はなかった。 [考察] 今回の報告では、データの数が少ないため、顎関節症患者と健常者の夜間異常機能活動に明確な差が認められた。しかし本システムは、口腔異常習癖者の咀嚼筋活動の直接的評価を行う方法としては有用であった。今後は対象の数を増やすことに加えて、ノイズの問題、電極位置再現性の問題、筋電計装着時の睡眠の姿勢の問題など、さらに検討が必要と思われた。
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