1996 Fiscal Year Annual Research Report
開口時パノラマ撮影法を使った顎関節症型診断へのニューラルネットワークの応用
Project/Area Number |
08771928
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
福富 義一 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (80258590)
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Keywords | 顎関節症 / 症型分類 / パノラマエックス線写真 / ニューラルネットワーク・ロジック / ファジイ・ロジック |
Research Abstract |
開口時回転パノラマ写真を使用した顎関節症症型診断に際して、主眼を円板動態異常を持つIII型と骨変形を主体とするIV型、およびその他のものの3群と規定した。その理由として、III型およびIV型の割合は顎関節症という種々の症状を持つ症候群の8〜9割を占め、エックス線学的に何らかの兆候を示すためである。主題であるファジイ・ロジックとニューラルネットワーク・ロジックによる診断システムとの比較検討に関しては、まず昨年度に行ったファジイ推論診断システムの判定項目として使用した4項目を順次応用するとともに開口時回転パノラマ写真の際の顔面のブレを考慮する改良を加えた。(1)骨変形に関する下顎頭内外側皮質線の形態評価、(2)(1)の評価に関節隆起の形態の重みを加えたもの、(3)位置的評価として内側関節隆起最下点に対する内側下下顎頭頂の前後垂直的位置、(4)(3)に下顎頭の立ち上がり角度の重みを加えたもの、の4項目はそのまま使用し、新たに個々のデータをVASで数値化し、メンバーシップ関数を作成、非ファジイ化して〔If then〕ruleを使って判定した。この結果を第10回顎関節学会(札幌)において発表する。比較するニューラルネットワーク・ロジックにおいては、ニューロンモデル(multiple input neuron)を作成し、ネットワークを構築するだけの判断材料を現在の判定項目からだけでは得ることは不可能であったため、現在、以下のIII型からIV型へ以降する仮説を立て、そのモデル作成を行っている。モデルは三次元的な変形へ至る過程をMRI像から推定したもので、独自の推察に基づいている。その仮説は、(1)正常(健常)顎関節群、(2)靱帯の弛緩、不安定な支持から、円板転移・変形(後方肥厚部の肥厚)と下顎頭の後方偏位を起こした群、(3)運動制限に陥り頭頂部の造骨性変化を来たす群(4)次第に更なる円板転移によって下顎頭後方偏位の改善や頭頂部のビランや骨硬化を示す群、(5)終末期には萎縮性変化を示し下顎頭吸収を来す群であり、この過程でAdaptiveな変化から退行性変化へ進行しない条件として、関節面間応力の減少、潤滑の向上、運動域の改善、関節の安定性の4項目を設定した。この条件に基づいたニューロンモデル(multiple input neuron)からネットワークを構築する予定である。
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