1996 Fiscal Year Annual Research Report
実験的な歯の移動における破骨細胞と顆粒球の動態に関する組織学的・免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
08771981
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
今村 一信 昭和大学, 歯学部, 助手 (10255888)
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Keywords | 破骨細胞 / H^+-ATPase / 骨吸収 / 歯牙移動 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
【目的】矯正学的な歯の移動に対応する歯槽骨の改造機転を解明するため、骨吸収の指標となる液胞型H^+-ATPaseに対する抗体を用いて免疫組織学的に検討した。また同条件下で単核食細胞系の動態についても免疫組織化学的な検討を加えた。 【方法】生後7週齢のWistar系のラットの上顎第一、第二臼歯間にゴム片を挿入しWaldo法に準じた歯の移動を行った。ゴムを挿入しない対照群、ゴム挿入後6時間、1日、4日、7日、14日のラットの上顎骨を観察試料とした。この試料に対し、第一抗体に抗液胞型H^+-ATPase抗体、抗granurocyte & macrophage抗体を用いた免疫染色を行った。 【結果.結論】ラット臼歯の上顎臼歯間にゴム片を挿入し、歯の実験的な移動における破骨細胞と単核食細胞系の動能を免疫組織化学的に解析したところ、以下の結果が得られた。 1)H^+-ATPaseの免疫組織化学によって、光顕的・電顕的に破骨細胞と前破骨細胞が同定された。 2)加圧開始後,破骨細胞と前破骨細胞は圧迫側付近の歯槽骨頂部の血管孔内に最初に出現した。 3)加圧開始後7日目まで、経日的に圧迫側の歯根膜内で破骨細胞と前破骨細胞の数が増加したがそれ以降は破骨細胞が減少した。 4)加圧開始後6時間では,一過性に多数の好中球が牽引側の歯根膜に浸潤したが1日以降は急速に消退した. 5)加圧開始初期の牽引側歯根膜での好中球の侵出は、破骨細胞の誘導と一致しなかった。 以上の実験結果から、実験的な矯正力の適用による破骨細胞と前破骨細胞の動態は、歯周組織中での圧の継続と血流の変化が重要な因子となることが示唆された。
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