1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08771998
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
宮崎 顕道 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (10209885)
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Keywords | 矯正歯科材料 / ポリウレタンゴム / 抗菌剤 / 抗菌試験 / 皮下埋入試験 |
Research Abstract |
銀系無機抗菌剤を矯正用ポリウレタンゴムに添加し、5種類の抗菌性ポリウレタンゴムを試作した(以下、抗菌セラミックスをCa-P、ノバロンをNova、アパサイダーAをAp-A、抗菌アパタイトLをAp-L、抗菌アパタイトNをAp-Nとする)。今年度は、試作したポリウレタンゴムの抗菌性について検討するため、3種類の細菌を用いて抗菌試験を行った。また、生体安全性について検討するため、ラット皮下への埋入試験を行った。 1.抗菌試験:供試菌はStreptococcus mutans(IFO 13955)とLactobacillus casei(IFO 15883T)およびStaphylococcus aureus(IFO 12732)の3種類を使用した。抗菌試験はフィルム密着法を用いて行った。その結果、S.mutansに対しては、Ap-Aを除いた4種類の抗菌ゴムが抗菌作用を示した。L.caseiには、すべての抗菌ゴムが抗菌作用を示した。S.aureusは、Ca-pとNovaで死滅、Ap-LとAp-Nでほぼ死滅したが、Ap-Aでは抗菌作用は認められなかった。2.生体安全性試験:生後約5週齢の雄性S.D.系ラット、各群3匹ずつの計18匹を用い、幅2mm、長さ7mm、厚さ0.7mmの試験片を背部皮下に埋入した。4週間後に屠殺し、通法に従いパラフィン包埋を行い、H-E染色を施して鏡検した。その結果、コントロールでは、線維性結合組織による埋入片の被包化が認められた。また、外科的侵襲の治癒機転と思われる極めて軽度な炎症性細胞浸潤を認める以外、為害性を思わせる組織変化は認められなかった。5種類の抗菌ゴムの埋入例においても、コントロールと同様に線維性結合組織による被包化が認められ、為害性を思わせる組織変化は認められなかった。 以上の結果より、抗菌ゴムの抗菌性および生体安全性が確認されたことで、埋伏歯を開窓した後の牽引など、矯正歯科臨床における抗菌ゴムの有用性が示唆された。
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