1996 Fiscal Year Annual Research Report
実験的高代謝回転型骨粗鬆症ラットに対するフッ素の影響
Project/Area Number |
08772001
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 尚一 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (40261028)
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Keywords | フッ素 / 代謝性骨疾患モデル / 骨機械的特性 / フッ素全身応用 / 大腿骨 / 骨フッ素濃度分布 / ラット |
Research Abstract |
う蝕予防のために利用されているフッ化物は,局所応用のみならず全身応用を含め,至適濃度で用いれば安全性の確立された薬剤である。今日までにフッ化物が骨組織に対し骨量を増加させることから,骨粗鬆症の治療にフッ化物が応用されている。しかしながら,集団における大腿骨頚部骨折の頻度と投与フッ化物との関係については,未だ一致した見解が得られていない。本研究では卵巣摘出による高代謝回転型骨粗鬆症モデルに,フッ化物を全身応用することによって大腿骨中にフッ素を蓄積させ,大腿骨強度へのフッ素の影響を調べた。 本年度実施した研究は, 1.動物実験モデルとして6週齢のSprague-Dawley系雌性ラットに1週間の予備飼育の後,卵巣摘出術を施術し実験に使用した。実験飼育期間は210日間とし,この期間にフッ素を4種の濃度に調整した飲用水を飲用させた。 2.ラット大腿骨機械的特性解析には3点曲げ法を応用して得た応力-歪み曲線を解析し骨強度を評価した。 3.フッ素分析サンプリングにはAbrasive micro-sampling法を応用して得た骨膜側より骨髄側へ至る厚さ30μmの連続したサンプルから,大腿骨中のフッ素濃度分布を求めた。 本年度得られた知見は, 1.骨の強度を示す指標のStrengthと大腿骨中の総フッ素濃度,平均フッ素濃度,骨髄側100μm部分の平均フッ素濃度との間には関係を認めなかった。 2.しかしながら,Strengthに骨の形状変化を示す指標のSMAを加味した骨の組織強さを示す指標のStressに関しては,大腿骨中の総フッ素濃度,平均フッ素濃度,骨髄側100μm部分の平均フッ素濃度との間に,有意な負の相関を示した。 3.正常な代謝回転を営むラットでは,大腿骨中フッ素濃度とStrength,Stressの間に負の相関を示したが,相関係数に有意性は認められなかった。以上から今回の実験条件下では,正常な代謝回転を営む群に関しては,骨中フッ素濃度の増加が骨強度の減弱効果を示す事を支持する明確な知見は得られなかった。が,高代謝回転モデルと平成7年度に実施した低代謝回転モデルではフッ素の効果に違いのあることが示唆された。なぜこのような結果が得られたかについては,平成9年度科学研究費に申請したテトラサイクリン・ダブルラベリング法を応用した骨粗鬆症モデルを利用して,骨代謝回転と骨形態へのフッ素の効果の関係を更に研究して行く計画である。
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Research Products
(1 results)