1996 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤誘発性けいれんについての神経生化学的検討-ニューキノロン剤を中心として-
Project/Area Number |
08772178
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
西方 真弓 武庫川女子大学, 薬学部, 助手 (30281520)
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Keywords | エノキサシン / フェンブフェン / マイクロダイアリシス法 / 脳内アミノ酸 / アスパラギン酸 / グルタミン酸 / けいれん |
Research Abstract |
エノキサシン(ENX)は、フェンブフェン(FNB)と併用した場合において、重篤な痙攣を引き起こすことが報告されている。現在までに、この痙攣誘発機構として、in vitro実験により、GABA_Aレセプターの関与が明らかにされているが、未だ不明な点も多い。今回の研究では、ラットにマイクロダイアリシス(MD)法を用いることにより、in vivoで、行動変化を観察しながら、脳内神経伝達物質、特に興奮性アミノ酸であるアスパラギン酸(Asp)とグルタミン酸(Glu)の変動を経時的に測定し、痙攣誘発についての検討を行った。 実験動物として7〜9週齢のWistar系雄性ラットを使用した。実験開始24時間前までに、ラット脳海馬CA_1領域にガイドカニューラを固定すると共に、頚静脈にカテーテルを挿入した。実験当日、ガイドカニューラ内に、予めリンゲル液(流速2μl/min)を灌流させた2mmのMDプローブを挿入し、ラットをフリームービングユニットケージに移して、脳内アミノ酸の測定を開始した。平常状態を確認後、各濃度でENX単独またはENXとFNB(20mg/kg)を同時に静脈内投与した後、ラットの状態を観察しながら、10分間隔で灌流液を採取した。試料中アミノ酸濃度の測定はHPLC法により行った。 投与量20〜80mg/kgのENXを単独投与した場合、全ての投与量において痙攣は認められず、対照群と同様、Asp及びGlu濃度に大きな変動は認められなかった。ENX35mg/kgとFNBを同時投与した場合、間代性痙攣を引き起こしたが、Asp及びGlu濃度に大きな変動は認められなかった。ENX50mg/kgとFNBを併用した場合、間代性痙攣を惹起し、引き続き激しい強直性痙攣を引き起こして死亡した。この死亡直前の試料中Asp及びGlu濃度はそれぞれ約3倍及び約4倍に上昇した。
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