1996 Fiscal Year Annual Research Report
父親の遊びへの関わり方と幼児の向社会性の発達との関連についての縦断的研究
Project/Area Number |
08780020
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
新谷 和代 帝京大学, 文学部, 助手 (90235771)
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Keywords | 父親 / 親子関係 / 夫婦関係 |
Research Abstract |
(調査方法)昨年度(1995年度)は、2〜3歳児の家庭23組を2回訪問し、第1日目(父親が休日の日)では父子場面の粘土遊びを、第2日目では母子場面の粘土遊びと友だち場面の積木遊びを、各々15分間観察し、ビデオに録画した。さらに育児協力等に関する父母へのアンケートと、TK式親子関係検査(品川1992)を実施し、夫婦がお互いに自分の育児と相手の育児をどう評価しているのかを調査した。さらに今年度(1996年度)も、同じ被験者を対象に、同じ方法で調査を実施した。(但し、子どもの成長を考慮し、父子・母子場面では粘土遊具の種類を増やし、友だち場面では遊具を幼児向けのレゴブロックに変えた。) (分析結果)ビデオ分析の縦断研究については続行中であり、事例的な経過報告に限るが、父親・母親の幼児への働きかけの特性は1年の縦断観察の中で、安定していた。また両親ともに、子どもに直接働きかけるのではなく、見守る時間が増えていた。また、両親ともに見守るタイプの幼児は、友だち場面で、相手の言動に注意を向け、積極的に働きかけ、自分の遊びを組み立てようとしていた。 親子関係については、以下2つの分析を試み、各々学会に発表した。(他、関連研究を1つ発表。) ・児童期の親子関係が現在の我が子への育児に与える影響は、父親には殆ど見られず、母親の場合は、深刻な影響を及ぼしており、過去に親としての適切なモデルが示されなかったことが現在の育児を困難にしていた。 ・父親・母親の幼児への相互作用についての質的・継時的な分析を行った結果、父親は積極的に遊びを変化させようとし、自らやって見せるなどした。母親は現在共有されている遊びを維持しようとし、その遊びに関連した遊具を提示するなどした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 新谷和代・福丸由佳: "両親の児童期における親子関係が現在の親子関係に及ぼす影響" 日本教育心理学会第38回大会発表論文集. 107- (1996)
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[Publications] 新谷和代: "父親・母親の幼児への相互作用についての質的・継時的分析" 日本発達心理学会第8回大会発表論文集. 180- (1997)
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[Publications] 園田菜摘・新谷和代: "幼児期への内的状態への言及の特徴-父子相互作用と母子相互作用の比較" 日本発達心理学会第8回大会発表論文集. 187- (1997)